私達にとって、死はいつの日か必ず迎え なければな らないもの です
    
       人生の終りが確実に近づいている状況(終末期)になった時、どのように生き、死をどう迎えるか・・・
    
            私達が望む人生の終りを迎えるためにはどうしたらよいかを 
     
        
医療現場での患者さんや家族、肉親の方々の姿を通して考えてみたいと思います

H O M E T はじめに U終末期 Vガン患者さんの終末期
W 非ガン(高齢者)患者さんの終末期 X 終末期を取り巻く医療環境 Y 終りに 本 の紹介



は じめに

人 間とはいつか 必ず死を迎える存在です。 死は人間(生物)にとってさけられないものです。

このことは、誰 もが知っているけれど、この厳然たる事実を本当の意味で受け容れて生き、日頃から死を迎える時に
備えていろいろと準備 や心構えをして生きている人は多くないように思います。  

 そして、いざ 死 が確実に近づいている状況(終末期)となったときに、(本人ばかりでなく、家族・肉親も)死を受け容れ
ていないため に、慌て、悩み、苦しむ状況があります。

 近年、医療の 分野においては、末期ガン患者に対しての終末期医療のあり方、安楽死や尊厳死の問題、また臓器
移植と関連した脳死の問題、さ らには高齢者患者でのアドバーンス・ケア・プランニング、POLSTMOLST)、自然死、
平穏死など終末期にある人たちを巡 る問題がマスコミなどで盛んに取り上げられ論議されてきています。

私たちは、健 康 である状態を前提としてのみ どう生きるかを考えがちです。
そのため、治癒 が望めない病態に陥ったり、更に生命的見通しが悪い状況になった時に、どう生きていくか、
どう死を
迎える かについて
考 えていこうとする風潮は、とても望ましいものと思われます。

 しかしなが ら、人生の終末期にある人たちを治療し、看護・介護する現場にいる医療者から見ると、終末期医療、
安楽死、尊厳死 などに関する一般の人達やマスコミの要望、論議、論調はあまりにも観念的、情緒的で具体性に乏しいと
思われてなりま せん。

 その原因は、 終 末期の実際の状況について、一般的にあまりにも知られていないためではないかと思います。
延命を目指す 医療技術がますます進歩している現代においては、また世界に類を見ない我が国の医療保険制度の
下では、自分の体が思う ようにならなくなってからも、また意識障害や認知症などでどう生きるかを考えることが出来
なくなってからも、死を迎 えるまで長い期間生きなければならないのです。

以前、終末期 をどう生き、死を迎えたいかをアンケートで調べた際、多くの方々が「自分の人生に満足し、支えてくれた
周 りの人たちに感謝して終わってゆきたい」「周りの人たちに肉体的にも、精神的にもあまり迷惑をかけないで終 わっ
てゆきたい」と答えておられます。

 ここでは、現 代に生きる多くの人達が望む終末期がはたして実践されているか、実践の有無の各々において、その
原因は何か、それらに 対する対応策はあるかなどについて、患者さんおよびその家族・肉親の方の姿を通して学び、
終末期の理解を深め、今 生きる私達が望む終末期を最後まで思うように生き、死を迎えるためにはどうしたら良いかを
考える参考としていただきた いと思います。
と同時に、末 期の生き方に深く関与する現在の日本の医療環境の現状と問題点についても考えてみたいと思います。