TV考察


VOL7.CATVサービス内容調査

最近、全国的にCATVへの加入者が増加しているようだ。
総務省の発表 によると、今年3月末時点でのCATV普及率は20.8%(前年比6.7%増)。
なんと全国で約2割もの世帯がCATVに加入している。

以前は「日本では有料テレビは馴染まない」などと言われていた。
確かに日本では「テレビはタダで見られるもの」という意識が強い。
NHKへの支払いを頑なに拒否する人、BSアンテナを隠して設置する人までいる。
事実、CATV事業者・加入者は少なかったし、ディレクTVは撤退してしまった。

ところが、ここに来て急にCATV加入者が増加した。
理由はいくつもあると思うが、やはり「インターネット常時接続環境」が安価で得られるからであろう。
僕がCATVに加入した理由もそうだ。


ところで、当然のことだがCATVは居住地域でサービスしていなければ加入できない。
しかも、CATV会社が1社のみの地域だと他に選択肢が無い。殆どの地域はそうであろう。
CATVに加入しようと思ったら、強制的に会社が決められてしまう。
ということは、サービス内容(料金や視聴可能チャネル数など)も限定される。

これは別にCATVに限ったことではなく、公共インフラ(電気ガス水道や交通機関など)でも同じ事であり、
気に入らなければ他所へ引っ越すしか手段は無い。

まあ、公共インフラの場合は料金改定などは公の審査があり、サービスに不公平が起こらないように なっているのだが、CATVの場合はどうなのだろうか?


ところで、僕が個人的に考える『良いサービス内容』とは、

1.手頃な料金
2.インターネット常時接続(固定料金)
3.北陸朝日放送は1〜12chで再送信(ホームターミナル不要)
4.できればNHK−BS1、BS2も1〜12chで
5.CS放送は有名どころが揃っている(20ch程度)
6.スクランブルは有料チャネルのみ
7.BSデジタル放送も見られる
8.接続速度・下り1M以上
9.HP容量は10MBくらい
10.IPアドレスはグローバルアドレスで(ICQ使うので)
11.複数台接続OK(ルーター等でIP共有)
12.CGI・SSIも利用可能なら最高
13.FM再送信あり(サービスエリア内の全FM局)
14.ヤクルト戦は完全中継!(笑)

・・・書いているうちに多くなってしまった(^^;
なお、3は「県内にない系列局」と読み替えても良い。14は無視して欲しい(笑)

これらの条件を全て満たすCATV会社など、全国探しても少ない、若しくは無いかもしれないが、
どの程度まで条件を満たしているだろうか?


そこで今回、富山県内のCATV事業者のサービス内容の比較を行ってみた。

「他の会社の方が良いから変える」などは不可能なのだが、
「自分が加入している会社のサービス内容はどーなの?」をチェックしてみるのだ。

以下の条件で各社サービス内容の比較を行った。ソースは各社HPより。

ホーム共聴(TV3台程度)、ホームターミナル1台、インターネット常時接続

CATV会社名(地域) 月額料金 初期費用 北陸朝日 NHK-BS1,2 CS・ch数 BSデジタル FM再送信 IPアドレス 下り速度 複数接続 HP容量
高岡ケーブルネットワーク
(高岡市)
6,300円 110,000円 6ch 9,11ch 24 アナログ変換 2 グローバル 8M 5M
ケーブルテレビネット富山
(富山市)
6,800円 55,000円 C23ch
&スクランブル
C17,18ch 23 アナログ変換 3 グローバル 128K 不可 5M
となみ衛星通信テレビ
(砺波広域圏)
6,800円 92,000円 10ch C18,20ch 21 アナログ変換 非公開 グローバル 128K 不可 5M
魚津インフォメーションセンター
(魚津市)
8,000円 100,000円 非公開 非公開 22 アナログ変換 非公開 非公開 非公開 非公開 非公開
新湊ケーブルネットワーク
(新湊市)
8,400円 85,000円 11ch C18,21ch 22 アナログ変換 非公開 プライベート 256K 標準で可
(3台)
5M
ケーブルネット氷見
(氷見市)
7,000円 97,000円 C16ch C29,30ch 21 アナログ変換 非公開 グローバル 128K 不可 5M
上婦負ケーブルテレビ
(婦中町)
8,000円 100,000円 C44ch C17,18ch 18 非対応 非公開 プライベート 512K 不可 5M
ケーブルテレビ八尾
(八尾町)
6,700円 64,000円 C36ch C17,18ch 18 アナログ変換 2 プライベート 8M 不可 10M
※月額料金=ホームターミナル1台+インターネット常時接続(割引含む)
※初期費用=加入料+工事費+登録料、なお工事費は「標準工事」の価格を参照した。

各社の個人的評価

■高岡ケーブルネットワーク
僕が加入しているところ。まあ良い感じ。
初期費用(工事費)が高いのとHP容量が少ないのを除けばOK。
標準工事費としてブースター設置やアンテナ撤去も含まれているため高いのかも。
特にNHK−BSがホームターミナル無しで見られるのがウレシイ。
しかし、「下り速度=8M」となっているが、そんな速度今まで一度も出た試しがない。
良くて800Kくらい。普段は400Kくらいかな?
ルーター等による複数台接続を許可しているのも良い。(技術的にはどの会社もOKのはずだが・・・)

■ケーブルテレビネット富山
初期費用が一番少ない。うち、加入料が2万円ってのは安い。
下り速度=128Kは最安契約の場合。最高2M(月額10万円!)まで選択可能。
なお、6月からは料金改定し値下げするらしい。
しかし、北陸朝日放送にスクランブルをかけるとは何事だろうか!?
「地上波再送信には手を加えちゃダメ」ってのがルールだろうに・・・
富山市内はアンテナ立てても北陸朝日の受信はほぼ無理なので、これをエサにしている感がある。

■となみ衛星通信テレビ
標準的、といったところ。まあ、ごく普通。
今時、下り速度=128Kでは遅いようにも感じるが・・・
広ーい田んぼに家が点々、って感じの地方なのでエリア拡大は難しそう。
数百メートル幹線引いて、引き込み1軒とかじゃ採算とれないわな(^^;

■魚津インフォメーションセンター
とにかく、ここのHPは肝心な情報が少なすぎる!
よって、殆どの項目が“非公開”となっている。
チャネル番号や接続速度までもが非公開・・・。きっと自信がないのだろう。

■新湊ケーブルネットワーク
標準で3台まで接続可能(IPアドレス3つ貰える)ってすごいかも。
プライベートアドレスなので3つあっても意味無いけど(^^;
しかし、月額料金が一番高い。こりゃ高すぎる!
標準1台で安価の料金体系も設定すべきだろう。
表には載せていないが、CGI用サーバーを無料で用意しているのは非常に良い。

■ケーブルネット氷見
ここも北陸朝日をエサにしている感じ。(スクランブル化は不明)
ホームターミナル経由だとVTR録画の際、すごく不便なのだが・・・。
使い勝手のことは考えてくれてないのか?
インターネット接続は今年4月に始まったばかり。今は空いてていいかも?

■上婦負ケーブルテレビ
CSチャネルが少ない。BSデジタルもやっていない。
多チャンネルを希望する人は、間違いなくスカパー!を選ぶであろう。
地上波再送信は全て未使用チャネルに変更している(1→4ch、3→6ch、10→9ch)。
これは直接波飛び込みによるゴースト防止のためと思われる。
下り速度=512Kってのは速い。
プライベート、複数台ダメ、5MBってのは頂けないが・・・。

■ケーブルテレビ八尾
ここは会社ではなく町営のCATV局。
「八尾町農村多元情報システム」という地域サービスが主体であり、単純に他との比較はできない。
CATV電話、多重情報検索システム、農業気象情報、等々。いやスゴイ!
TVサービスは平凡なもの。まあ、TVはオマケ的存在なのだろう。
インターネットは3つの接続方法があり、表では「端末IP型」(CATVで一般的な方式)で比較。
CATVなのに「ダイヤルアップ型」(CATV電話→モデム→パソコン)ってのもある。
広帯域がメリットのCATVなのに、音声変換でデータ伝送ってのは本末転倒だな(^^;


と、色々と比較・評価してみた。
僕が加入している「高岡ケーブル〜」は意外と良かったので一安心(^^;
なぜか地上波再送信の「石川テレビ」のみスクランブル化しているのは謎だが・・・。

よく雑誌やネット上で「プロバイダ満足度調査」というのを見かけるが、
「CATV満足度調査」ってのは見たことが無い。
たとえ良し悪しが判ったとしても、乗り換えなどできないからであろう。

今回は富山県内のCATV事業者のみに絞って比較してみたが、全国的にはどうなのか知りたい気もする。


あとがき
「インターネット常時接続」が宣伝文句になって急増したCATV加入者。
今後はxSDLや有線放送など、ブロードバンド・常時接続環境のライバルが増えてくる。
選択肢の拡大、競争原理による料金値下げ。
競争相手が増えるということは、消費者にとっては良い傾向だ。
そうなると現在のような加入者増は望めなくなってくるであろう。
今後のCATV会社の動向に要注目だ。



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