VOL4.中継局数の地域差 一般的なOP/ED画面は、中継局のチャネル案内が流れる。 富山・石川は全局、新潟はNSTのみ。 各テレビ局のOP/ED画面を見比べ、つくづく思うことがある。 「富山って中継局数が少ないな〜」と・・・。 そこで数えてみたところ、次のような結果に。(親局含む) 【富山】KNB=19局、BBT=19局、TUT=18局 【石川】MRO=60局、ITC=57局、KTK=35局、HAB=33局 【新潟】NST=50局 やっぱり少ない。MROと比較すると3倍もの差がある。 また、石川県の放送局間では倍近くも中継局数が違う、というのも驚きである。 これら中継局数の差異は 「都道府県間の差異」 「放送局間の差異」 という2種類の分析ができる。
右表は都道府県別・面積と中継局数の一覧である。 なお、中継局数はNHK総合の局数を使用した。 これは、NHKは全国均一に中継局を設置しており、総合の世帯カバー率はほぼ100%であるためである。 ま、無駄な中継局(=誰も受信してない)も多いらしいが・・・(^^; さて、富山県の場合はどうだろうか? なるほど、面積は小さい。全国41位だ。中継局数が少ないのも頷ける。 しかし、表を見る限り中継局数と面積とは比例しないことが判る。 中継局数の差異には、どのような要因が考えられるだろうか? 考察1.面積の広狭 当然、面積が広いとカバーするのに必要な局数も多くなる。 テレビ電波は見通し距離内通信であり、減衰も大きいからだ。 北海道はその通りであろう。 考察2.地形と人口分布 直進的なテレビ電波は、山や崖、建物などの障害物に弱い。 平野部の割合が大きく、かつ人口分布が平野部に集中している方が有利、 つまり中継局数が少なくて済むのだ。 富山県などは好例だろう。殆どの世帯は富山平野に分布している。 逆に長崎県は厳しい。山や崖が多く、かつ島嶼部も多い。平野と呼べる地形は殆ど無い。 考察3.送信所の空中線高と出力 いくら平野部が広くとも、送信所の空中線高が低くては見通し距離が稼げない。 また、出力が小さくては減衰によって信号強度が弱まり、遠方では受信できない。 新潟県は北の端(山北)から南の端(青海)まで約250km、これは東京〜豊橋の距離に匹敵するのだが、 中継局数は74局で済んでいる。 これは、空中線高が約680mと非常に高いことが幸いしている。 平野部の中心に高い山が存在する、というのが一番の理想だろう。 出力は大きいほど良いのだが、こればっかりは免許制度なので・・・ テレビ局側とすれば、中継局は少ないほうが助かるだろう。 中継局の設置には多大な費用がかかるし、継続的な運営費用も必要だ。 1局あたりのカバーエリアが広いほうが経済的、ということだ。 右表の「局当たり面積」とは、1局当たりのカバーエリアを表したものである。 数値が大きいほど経済的、という指標とできる。 もちろん中継局は対象エリア・世帯数はおのおの異なるし、県域面積には非居住面積も含まれるのだが、 単純な比較材料として(面積÷局数)で算出した。 【経済的な中継局配置ランキング】 1位:北海道、2位:千葉県、3位:埼玉県、4位:栃木県、5位:秋田県、 6位:群馬県、7位:青森県、8位:茨城県、9位:山形県、10位:新潟県、 11位:福島県、12位:富山県、13位:宮崎県、14位:大阪府、15位:岩手県、 −−− 中略 −−− 43位:福岡県、44位:愛媛県、45位:兵庫県、46位:長崎県、47位:香川県 1位は北海道。まあ、北海道は面積がケタ違いなので・・・(^^; なんとベスト10内に関東広域圏が5つも! 関東平野の広大さと東京タワーの強大さが優っているようだ。やっぱり50KWは卑怯!(笑) 健闘したのが東北勢。15位中5県がランクイン。 地図で見る限り、そんなに平野部が広いと感じないのだが、地形が良いのだろうか? ワーストは香川県。県域面積が日本一小さく、この指標で比較すると不利となるのだ。 地形は平野部が多いが、小高い山が方々に散らばっている。これでは電波環境上厳しい。 と結論付けてみたが、実は民放テレビ局の経済性では香川県は優っているのだ。 岡山県・香川県の民放各局は、準広域圏(岡高地区)として両県がサービスエリアとなっている。 通常は1県単位での免許である。5系列局を放送するのであればテレビ局が5つ必要だ。 しかし、岡高地区の場合、岡山=3、香川=2とキー局を分担して設置しており、 全国でも数少ないテレビ東京系列を有する地区なのだ! 2県で5局というのは広告収入の面からも最適であろう。 ・・・話が少し逸れてしまった(^^; 次に「放送局間の差異」について。 これは単純明快。若い局(開局日が新しい局)ほど少ない。 例として石川県の場合、 MRO=60局(1958年)、ITC=57局(1969年)、KTK=35局(1990年)、HAB=33局(1991年) となっている。 若い局は予算の都合により中継局を全て設置できていない、ということだ。 受信世帯数の多いエリアから順次設置している最中なのだろう。 まさか「局免が下りないから」ではあるまい。 この数字を見る限り、未だにテレビ金沢・北陸朝日放送を見られない世帯が結構多いのではないかと思う。 因みに富山県はチューリップテレビが1局を残すのみ(氷見論田局)。ひょっとして忘れているのか?(笑) ノルマが19局ぽっちなので同時期に開局したテレビ金沢に較べて容易であったのだろう。 民放テレビ局は商業放送であり、営業損益が非常に重要である。 国営、いや公共放送のNHKのように、公平なサービスは難しい。 あとがき 中継局数にはミニサテやSHF再送信も入っている。 これらの場合、当事者(住民や電波障害起因事業主)が中継局費用を負担している場合もある。 また、難視聴地域対策事業として公共で民放中継局を設置する場合もある。 |