一
般病院において、患者さんが、たとえば末期ガンのような、治療の見込みがなく、生命的に見通しが悪く、比較的早い時期に死を迎えなければならない、いわゆ
る予後不良な病気に罹った時、患者さんは、病気をどの様に受け容れ、対応し、残された人生の期間を過ごしているのか、事例をとして把握する試みから始め
た。
そこで、これらの問題に興味を持つ病院内の職員を募り、「“生きる”を考える会」と云う勉強会を発足させた。
「“生きる”を考える会」の発足にあたって
近
年、疾患に対する診断および治療技術の進歩によって、医療による救命あるいは延命の成果が飛躍的に向上しておりますが、一方では 悪性腫瘍および一部の慢
性疾患においては、現在の医療技術を以ってしてもその病勢の進行を阻止することができず、予後不良なものも少なくありません。
最近、このような予後不良な患者のターミナル・ケアをどの様に実践するかが、患者のクオリティ・オブ・ライフの考え方とあいまって問題となっております。
このたび、このような問題について医療者・被医療者がともに考える機会を持つために「“生きる”を考える会」を発足させました。
本会では今後、
1.悪性腫瘍患者を含めた予後不良な患者の余生を充実したものにするにはどうしたら
よいか、またそれに対して医療者側がどのようにまたどの程度かかわり援助するこ
とができるか
2.予後不良な患者に対する癌告知を含めたインフォームド・コンセントの是非につい
てはどうか
3.癌告知を含めたインフォームド・コンセントによって生じる問題、とくに精神的苦
痛に対して医療者・被医療者はどの様に対処すべきか、あるいはできるか
4.予後不良な患者のみでなく、私達自身も病名・余命を知った後で初めて自分の死・
生を考えるのではなく、死に対する日常の準備教育が必要なのではないか、またそ
のためにはどのようなこと・考え方が必要か
等を講演、討論等を通して考え実践していきたいと考えています。
「“生きる”を考える会」事務局
世話人代表 狩野 哲次