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ペリーヌ物語★物語の比較

アニメ
第34話 忘れられない一日
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ある日、ペリーヌは工場長のタルエルからサン・ピポア村の工場に、通訳として行くよう命じられる・・・

<原作>

バロンの一件を除けば大筋で原作に沿った内容です。原作では、ペリーヌは工場長のタルエルから事務室に呼ばれる事を前以て予測しています待っていた?)。ペリーヌは今回の仕事を重要(ビルフランに接近⇒幸せに?)な足がかりにしようと考えていました。

ペリーヌが通訳(英語)が出来る事の情報の流れは・・・アニメでは、ファブリタルエルビルフラン、となっているが、原作では、ロザリーモンブルービルフラン、となっています。

サン・ピポア村の工場へ行く時、ペリーヌの馬車の席は、アニメではギョームの隣ですが、原作では後ろの小さな席に座るようにギョームに注意されます(隣の席はビルフラン専用?

ペリーヌは、サン・ピポア村での仕事の間は「小屋」には帰らず、宿屋(個室)を利用している(勿論、経費は食費込みで5フランもらっている)。

何故、ビルフランはファブリを出張させたのか?
前以て英国人技師が工場に訪れる予定が有るにもかかわらず、ビルフランはどうしてファブリを出張させたのでしょうか?アニメを見ていると、こんな疑問がわいてきます。
答えは原作に在りました。
原作では、ビルフランが英国人技師に質問しています。
「なぜ
予定よりも一週間早く来たのですか、そのために、指示に当るはずの英語の出来る技師が不在なのです」・・・と
つまり、ビルフランの予定では英国人技師達が工場に来る前にファブリが出張を終えて帰っている計算だったが、英国人技師達の予定外の行動に対応が間に合わなかったようである。

アニメ
第35話 英語の手紙

第36話 よろこびと不安

第37話 おじいさんの大きな手

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ペリーヌの通訳と翻訳の仕事はビルフランを十分満足させた。サン・ピポアでの通訳の仕事を無事に終えたペリーヌはマロクールに戻る。そこで、ビルフランに秘書を命じられる・・・

<原作>

この部分も大筋で原作に沿った内容ですが、話の順序が多少、前後します。また、会話の内容、人物等も微妙に異なります。

サン・ピポア「2日目」
通訳の合間にビルフランはペリーヌに新聞の翻訳を指示します。ペリーヌは緊張しながらもビルフランの期待になんとか応えます。この結果、ビルフランはペリーヌのことを高く評価します。

原作では、新聞の翻訳は仕事場の箱に腰掛けて行っています。その前のビルフランとテオドール(原作ではカジミール)の会話も仕事場て行っています。新聞の翻訳が終わった後、仕事場から事務所に帰る時の会話では・・・
ペリーヌ・・・・・「お手をお貸しましょうか?」
ビルフラン・・・「むろんそうしてくれ、でなけりゃどうしてわしを引いて行ける?また、途中で邪魔になるものを見たら注意してくれ、なによりも先ずぼんやりしていないようにな」
ペリーヌ・・・・・「それはもう!確かに、私を信頼なすってようございますわ!」
ビルフラン・・・「信頼しておる」
以上の様に、原作ではビルフランは人の好意を拒みはしていません。
実際、ビルフランは工場内を移動する時は必ず監督か甥に先導させています。
アニメでは「工場内はわしの家よりもよく知っている」と言って、周りの援助を拒否していますが、原作では、ペリーヌが工場内に敷いてある鉄道のレールをビルフランに注意を促した時に「その必要はない。工場中の地面という地面は頭と足で覚えているからな、しかし、ふいの邪魔に出くわすかも知れない、それは、わしにも分からぬから知らせて
くれるか避けさせてくれるかしなければならぬ
」と言っています。
アニメと原作とでは「同じ内容のセリフ」も全く違う意味に用いられています。
おまけに・・・ペリーヌ「お手をお貸しましょうか?」と言って持った手はアニメは「右手」ですが原作は「左手」です。

サン・ピポア「3日目」
翻訳を終えた後に、ビルフランはペリーヌにマロクールに来た理由と、これまでの経緯を詳しく聞いています。
この時、ビルフランはペリーヌに「わしはお前が立派な娘と知って嬉しい。わしは気の挫けてしまわぬ意思と勇気と決断の人が好きじゃ。そういう性質を男の中に見つけるのは嬉しいが、お前のような年輩の子供の中に見るのは、なお嬉しい」と話しています。また、現在の自分の心境も語っています。
アニメでは2日目の朝、事務所でテオドールがビルフランにペリーヌの印象を話していますが、原作では3日目、仕事場で(ペリーヌの近くで、一部はペリーヌも聞いていた
ブノアと
ビルフランが話し合っている。
この時、
ブノアは好意的にビルフランに伝えています。外見について、「綺麗なんです。実際みすぼらしいあの着物があの娘の美しさを浮き立たせるので、いよいよ綺麗です」と言っています。

ファブリが復帰した日
朝、職工達と一緒に仕事場に来たペリーヌは、そこに「ファブリ」の姿をみる。
ペリーヌは何をすれば良いのか分からなかったが、自分を此処に呼び寄せたのは「ビルフラン」なのだから、ビルフランに今後を委ねようと考えた。これに対してビルフランは今夕、マロクールに戻り明日の朝、事務所に来るようペリーヌに指示をする。

アニメでは、ビルフランがペリーヌに「職場での処遇」は一切、自分が指示するから勝手な行動(職場の変更等?)は許さない・・・と言っていますが、原作では、逆に「どうしてマロクールに戻らなかったのじゃ?」と聞いています。

アニメではファブリがペリーヌの今後についてビルフランに発言していたが、原作では「赤の他人」って感じです。

第36話 よろこびと不安」の中でペリーヌがビルフランにパリからの旅の説明で「所持品」を述べています・・・
アニメでは水筒の代わりに瓶を持っていますが、原作では該当品は持っていません。
原作での所持品・・・地図、母の婚姻書、ナイフ、ぼろぎれ、石鹸のかけら、小さな櫛、ゆびぬき、二本の縫い針とそれを刺した糸巻き・・・
アニメではショルダー・バッグを持っていましたが、原作では、これらの所持品をぼろぎれに包んでスカートのポケットに入れています。

マロクールにて・・・
朝、工場に着いたペリーヌは仕事場には行かず直接事務所に向かう。事務所の前で待っていたペリーヌにタルエルが中に入るよう指示する。そこでタルエルはペリーヌにサン・ピポア村の工場での仕事の内容を話すよう強要する。相当待たされた後、ギョームが迎えにくる。そして、事務室に案内されたペリーヌに、ビルフランは自分の秘書になるよう命ずる。

アニメ
第38話 すてきなワンピース
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「秘書に相応しい服装を・・・」ビルフランに言われたペリーヌはラシューズ夫人の店へ行くことに・・・

<原作>

サン・ピポア村での仕事振りや生い立ち等からペリーヌの能力に満足したビルフランは「秘書」を命ずる。ペリーヌは服装を整える為、ビルフランに指示された「ラシューズ夫人の店」へと向かう。買い物を終えると次にペリーヌは小部屋を借りるため、フランソワ−ズの家に行くのである・・・翌日、ペリーヌはビルフランに呼ばれ・・・

ビルフランから「秘書」を命じられた時、ペリーヌは素直に喜んでいます。「ラシューズ夫人の店」の話はまるで「重々しい顔をした盲目の老人ではなく魔法の杖をかざした美しい妖精でも物を言ってる」と表現しています。

原作ではラシューズ夫人の店」には、ペリーヌが一人で行きます。ペリーヌが買った服は豆模様の黒い更紗のブルーズとスカートです。ペリーヌは「秘書」の事は最後まで伏せていたので、ラシューズ夫人は「マロクールの全能の支配者が一体この乞食娘とグルになって何をしようというのかしら」と思い、結局「下男の娘か何かがビルフラン氏に喪服を買ってもらうのだろう」と考えた。

これまでのペリーヌには盗られて困る物は無かったので「小屋」で十分であったが今は財産(ラシューズ夫人の店で買った服)が有るため、フランソワ−ズの下宿屋で個室を借りることにした。

翌朝、ペリーヌがビルフランに呼ばれた時の話の内容はアニメ、原作とも共通です。
ビルフランの怒りを駆った情報の流れは・・・アニメでは、
ラシューズ夫人タルエルビルフランだが、原作では、ゼノビ叔母さんタルエルビルフランである。同日、ペリーヌの秘書としての最初の仕事がアニメ「第37話にある原材料の見分けです(この時はアニメと違いタルエルたちは居ません)他の巡回も終わり事務所へ帰ろうとしたビルフランとペリーヌの前に馭者のギョームが酒に酔って現れる。結末はアニメと同じです。

アニメ
第39話 インドからきた手紙

第40話 バロンの災難

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ある日、ファブリが工場にきた手紙を持ってビルフランの所にやって来た。その中に、同席していたタルエル見慣れぬ切手を貼った手紙を見つける・・・

<原作>

ビルフランの事務所での仕事は、その日に届いた手紙のチェックから始まります。手紙の代読はフランス語は甥とタルエルが行い、外国語はベンディットが担当していましたが、現在は英語はファブリ、ドイツ語はモンブルーが翻訳していた。この日も、ビルフラン、甥の二人とタルエルが郵便の仕事をやっていた。タルエルがダッカからの英語の手紙をビルフランに告げるとビルフランはそれを受け取り、皆を部屋から追い出してペリーヌを呼ぶ。後は、アニメと大筋で同じです。

アニメでは、テオドールがペリーヌから手紙を無理に奪おうとするが原作では、ペリーヌに大声を出されるとビルフランに気付かれると思い止めている。

「金ぐらい出してやるさ!」
このセリフはペリーヌがビルフランに言った・・・「お二人の間に生まれた御子さんはどうなってしまうのでしょうか?」に対しての返事です。この部分(アニメ)だけでは、はっきりとした意味が解りませんが原作では、ビルフランはペリーヌに次のように言っています。
「父と娘との間なら躊躇することもなかろう。それに結婚が取り消されたなら、もう娘はあれにとって大したものでもなくなろう。印度の娘は早熟だ、そのうち縁づけられる。持参金を保証してやれば易いことじゃ。してみれば倅も物分りよく娘と別れることもあるまい、今に娘だとてぐずぐず言わずに父親と別れて夫に連れ添うようになる」・・・と。

原作では手紙を持ってくるのは給仕の仕事です。アニメのように「技師のファブリ」が手紙を運ぶのは無理がある?原作は手紙の内容について詳細に触れています。また、ビルフランは手紙の内容が満足を得るものではなかった為、直ぐに返事の電報を打つよう、ペリーヌに指示します。この部分は「第41話」の後半に出てくる話です。原作でもタルエルがペリーヌから電報を奪い取りますが転んではいません。したがって、アニメでは、電報を打って 帰ってきたペリーヌに、ビルフランが「脚をどうした?」と聞く場面が ありますが、原作にはありません。

第40話 バロンの災難は勿論「日本アニメーション」オリジナルです。

アニメ
第41話 お城のような家
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ペリーヌの身を案じたビルフランはペリーヌを自分の邸に住まわせる決意をするのだが・・・

<原作>

その日の午後(15時)、ペリーヌはギョームの代わりに馭者を命じられる。そして馬車を走らせ村のはずれに来た時に、ビルフランから「テオドールとタルエルが部屋に来たそうじゃな?」と話を切り出してくる。ペリーヌは部屋であった事を全て話しています(タルエルが言った「・・・生命にかかわる・・・」の部分だけは伏せています)そして、タルエルに電報を奪われた事、夕方、タルエルに呼ばれている事も話します。ペリーヌは、この時のビルフランの表情を「不満と悲哀とから成っているらしい苦しそうな不安が浮かぶ・・・」と感じ取っています。ペリーヌの話に対してビルフランは「お前を危険な目に逢わせたのは全て自分の手落ち」と言っています
(詳細)
その後のビルフランの行動はアニメと共通です。

ペリーヌが初めてビルフランの屋敷に着いたときに出迎えたのは、原作ではバスチャン(セバスチャン)一人です。馭者のフェリックスは後で呼ばれています。

ペリーヌはバスチャンに三階の「蝶の間」に案内されます。

"蝶の間"
原作ではアニメ同様、屋敷の三階に在り、内装は・・・アイボリーの壁布に、色鮮やかな蝶が舞い・・・グレーのカーペットには、デージー、ヒナゲシ、ヤグルマギク、キンポウゲ等、野の花を生き生きと浮き立たせている・・・とても明るい大きな部屋と記されている。なんて新鮮で美しい事!・・・ペリーヌは感激しています。

アニメでは、小間使い(アンリエット)が部屋に入って来た時、ペリーヌは、電気スタンドに気を取られていましたが、原作ではフカフカの敷物で遊んでいる時でした。

"電灯の謎"
アニメで、ペリーヌが電灯に驚いている場面が在ります。


そこでペリーヌは小間使い(
アンリエット)に用事を聞かれますが、その返事はアニメとまったく同じ「どうも有難う、別に何も(用は)ありません・・・と思います」である。アニメと原作、同じ場面で同じ台詞なのは此処のみ(?)です。
異論は受け付けません!(あせ (^-^;・・・管理人)

アニメでは、この後にバロンに会う為、アンリエットに納屋まで案内してもらうが原作では、仕事熱心?な小間使い(アンリエット)が「よろしければ、それでも、お部屋をご案内いたしましょう」と言って、室内の衣装ダンスや整理ダンス、化粧台等の内部を紹介した後、壁に在る電灯のスイッチを入れる。ペリーヌはこの時、初めて電灯の光に感動する。アニメでは勝手に電灯を点けたり消したりしているところをアンリエットに見られて"恐縮"ているが、原作では、ふかふかの敷物に関心しているところに、小間使い(アンリエット)が入ってくる。

アニメ
第42話 ロザリーの悲しみ

第43話 日曜日。ペリーヌは

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「 第42話」の前半以外は「日本アニメーション」オリジナルです。

<原作>

ペリーヌを屋敷においてビルフランが事務所に戻った時のタルエルの動揺はアニメ以上です。今夜からペリーヌがビルフランの屋敷に住む事を聞いたタルエルは、口癖の「察しますに・・・」の後の言葉が思いつかなかった程です。原作ではタルエルの性格を<主人の考えに対しては明白にはどんな僅かの異議をも唱えない>人物と書いてあります(この事はアニメ「第53話」でタルエル自身がいっています)。この時から、ペリーヌに対するタルエルの言動が・・・

晩餐の場面はアニメと同じです。ペリーヌを食堂に案内する召使(ルイ)の服装の色は原作では黒です。デザートは、アニメではブドウ?を食べていますが原作では桜ん坊を自分で取りますが後にバスチャン(セバスチャン)が杏子と桃を取り分けてくれる。晩餐後、バスチャン(セバスチャン)がペリーヌに身振りでサインをおくる場面は共通です。

「エドモンの写真(肖像画)」は原作ではビルフランの部屋から通じた書庫の暖炉の上にあります(アニメではビルフランの部屋を出た所の廊下の壁)。エドモンの写真を前にペリーヌは想わず嗚咽を漏らします。原作ではビルフランはこの事に気付き「なぜ泣く?」と聞いています。ペリーヌは「この御写真が・・・お子様が・・・あなた様はこの御方のお父様で・・・」ビルフランはちょっと、わけが分からず差し控えていた、それから同情して感動した口調で「お前も身寄りの者のことを考えたか?」「ええ、そうなのです・・・そうなのです」「可愛そうにのう!」・・・以上・・・

翌朝、ビルフランの事務室にいるペリーヌを見た後のタルエルとテオドールの会話の場面はアニメと共通です(原作ではカジミールが加わり3人

原作は「 第42話」の後半部分からアニメとは話が違ってきます。

タルエルとテオドール、カジミールの3人がベランダの下で密談をしている所にダッカからの返事を持った電報配達人がやって来る。タルエルは電報をビルフランに届て「私が開きましょうか?」と言って封を開けるが、英語の文面だった為、「それならオーレィの仕事じゃ」とビルフランが言う。タルエルが出て行った後、ペリーヌは電報を訳す。内容を知ったビルフランはペリーヌに今一度、返事を書くように指示する。相手は電報に出てきた2人、マケルネス神父に英語で、フランス人のルセール氏にはフランス語で書くようペリーヌに言った。ペリーヌは英語に直す文章は容易に書くことが出来たがフランス語で書く文章は一行も書く事が出来ず秘書室へ辞書を取りに行っても良いかビルフランに尋ねる。
お前は綴り字に自信がないのか?
ええ、少しもございません。それで、あなたのお打ちになる電報を局の人に笑われたくないのです
するとお前は間違わずには手紙が書けぬのじゃな?
ペリーヌはフランス語の綴り字、文法等は全く自信が無いことを
ビルフランに言う。
学校へは行かなかったのか?」とのビルフランの問いに対してペリーヌは勉強は旅の合間に両親が教えてくれた事、あまり、勉強はしなかった事を言う。

午後からの工場巡回の途中、
ビルフランはペリーヌに「大変立派な小学校の女の先生が此処に居る、戻ったらその人に、放課後、わしの仕事がすんでから、六時から八時まで、お前を教えてくれるかどうか、聞いてみよう」と言ってさらにビルフランは説明を続けている。「先生の名前はベローム嬢ベロームとは美しい男という意味、その名のとおり、わしより背は高く、肩幅も広い」といっている。
原作ではもう少し詳しく「ベローム嬢」について説明していますがこのへんで・・・

教養のある娘に仕上げます
結局、ベローム嬢はマロクールの全権を握っているビルフランの頼みを断るはずも無く、またペリーヌの事も気に入ったので家庭教師を引き受ける。
以下は稽古二日目の
ビルフランとベローム嬢の会話です。
何という災難だったんでしょう、この娘が教育されないでいましたとは!
賢いでしょう?
賢いどころではございません、もしこういうことがいえますなら、賢いこと
この上なしとでも仰ってくださいまし

書くほうはどうでしょうな?
芳しくはございません、が上手になりましょう
綴り字のほうは?
おぼつかのうございます
そうすると?
あの娘を見ますのに、書き取りをやってみてその書き振りなり綴り字なりを正確に知ることが出来ましたが、しかしそうすればそれだけの事でございます。私はあの娘のもっと良い意見を叩きたいと思いましてマロクールについて短文を綴らせました・・・以下略」

ベローム嬢はペリーヌに文章を書かせた結果、ペリーヌの見たり感じたりする天性を、また見たり感じたりしたことを言い表す天性を、高く評価する。ビルフランは喜びペリーヌが今日に到るまでの経緯をベローム嬢に説明する。
あの娘の意思が強くなるように仕込んでくだされ・・・以下略」
仕込むことよりもお手本の方がずっと効き目のあるものでございますから、あの娘は私から学ぶよりもずっとよく、あなたに学ぶことでしょう・・・以下略」

その後のベローム嬢は機会ある事にペリーヌに「ビルフラン」のことを口にした。そうして往々ついペリーヌの巧みな質問に乗せられて勉強とは関係のないビルフランに関する事柄を語らせられるのであった。結果、ペリーヌはベローム嬢からビルフランの「」に関する詳しい情報を得る事ができた。しかし、甥やタルエルの陰謀に対しては直接にも間接にも質問をさせはしなかった・・・中略・・・それがどんな事であるにせよ・・・聞き出すということは断念しなければならなかったかも知れない、しかし、カジミールの母親ブルトヌー夫人のマロクール訪問があってこれがため、きっといつまでも閉じられたままでいたであろうベローム嬢の唇は開かれたのである。

参考資料

岩波書店、岩波文庫 「家なき娘」
津田 穣(訳)

偕成社、偕成社文庫 「家なき娘」
二宮フサ(訳)

日本アニメーション 「ペリーヌ物語」

前編 中編 後編 ホーム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電灯の謎

最初に「ペリーヌ物語」の時代は何時頃でしょうか・・・
この疑問に対して、アニメ、原作を併せて唯一?確認できる
場面が「9話」のこのポスターの数字です。
ポスターには、1878年と記入されています。

1878年・・・

次の画像を見てわかるように、アニメに出てくる「電灯」は
明らかに、現代の「白熱灯」です。
では、「白熱灯」が発明されたのは何時でしょうか?

エジソンが「白熱灯」の実用化に成功したのは1879年10月
とされています。
(正確には、イギリスのスワンが1878年に発明?)

実用化、以前の「白熱灯」がビルフラン邸に存在する事は、
史実に矛盾しています。

アニメの、この部分を原作で調べると・・・
 とたんに室内も入り口の踏み込みも化粧室も、まぶしい
ほどの光に照らし出され、そしてたちまち消えた。
ペリーヌは、まだ自分がパリ近郊の野原にいて夕立に
おそわれ、空を引き裂く稲光が、ぱっとあたりを照らし出して
すぐにまたあたりを闇につつみこんだような気がした。
・・・となっています。

稲光のように強い光が部屋全体を照らし出しています。

1870年代には、一般的に「ガス灯」が使われていたようです・・・が、「白熱灯」が世に出るまでの
短期間、「アーク灯」という電灯が存在していました。アーク灯は、ガス灯に比べ照度が強く、
一時期、ガス灯より普及(特にフランス)したとされています。
当時の電力源は、一つのアーク灯に対し、一つの発電装置を要したようです。
ビルフラン邸にも自家発電装置が有りました。

以上から、ビルフラン邸の電灯の正体は「アーク灯」であり、アニメの「白熱灯」は現代人に
分かるようにすり替えた?ようです。
ちなみに、ポスターに書かれていた「1878年」は、日本で初めてアーク灯がともされた日で
日本では、この日を電気記念日としています。