溶かしたチョコレートを生クリームの中にいれ、カシャカシャと泡だて器をまわし始める。真っ白だったクリームはほんのりと茶色に染まってきて美味しそうになってきた。
「こんな感じでいいのかな?」
 丁度、ふわふわのクリームが出来たみたいだ。
 ケーキを3つに切って、中に果物やクリームを詰める。バランスよく気をつけながら間に挟み、ケーキ全体を溶かしたチョコレートでコーティングしてみる。
 一番難しいといわれるチョコレートを塗る作業も順調に進み、最後に砂糖菓子で作られた(クイナがつくっておいてくれた)いろいろな花の形の飾りとバランスよくのせた。そして、「Dear ジタン」とピンクのペンチョコで名前をかいた。
 ケーキはクイナが見ても満点といってくれそうな出来栄えになった気がする。それを丁寧にラッピングすると、ガーネットはそれを手にリンドブルムへと向かった。

 エアキャップから下りると、どんよりとした灰色の空からぽつりぽつりと空の旅人が降り立ってきた。茶色のレンガでつくられた道には、粉砂糖をかけたようにゆきがほんのりと積もっていた。
 そんな道を通りながら、タンタラスのアジトへと向かう。その最中も、恋人同士で歩く人が目につく。なんだか、みんな甘い雰囲気につつまれていた。ガーネットもなんとなく渡したときのジタンの反応を想像して、ほんのりと顔をが染まるのが分かった。そうしているうちに、タンタラスのアジトの前にたどりついていた。
 軽くドアをノックするが、返事がない。連絡もせずに来たのだがら、もしかすると劇の上演でもしているのかもしれない。


「劇の上演、見に行こうかな?

 とりあえず、見てくる
 買い物でもして時間をつぶしてから、また見に来る