実録・少額訴訟


第八回 口頭弁論(前編)


2009年3月24日
 ついに口頭弁論の日、開始は13:40からだが午前中から既に落ち着かなかった。家を13:00に出て裁判所には13:10分着。早めに指定された部屋に行くが誰もいない、早く着すぎたか。特にすることもないのでその部屋で待つことにする。

 部屋の広さは12畳かそれよし少し広いくらいだろうか。部屋には楕円形のテーブルの周りに椅子が8つ、他にはホワイトボードがあった。

 13:30になって誰かが入ってくる、どうやら書記官の人のようだ。しかし、被告は13:35を過ぎても現れないので「よし、このまま来るんじゃない!」などと思い始めるが、窓から駐車場を覗くと被告の車と人影を発見、どうやら着いたようだ。そして、その人影を見て少し緊張が走る。その人影は役員Sではなく役員Kだったのだ(※18)。正直私はこの役員Kの顔を見るだけでも気分が悪くなるのだ、もし役員Kと話すことになったら精神的にかなりのダメージがあるだろう。私の仕事が不真面目だったとでも証言するのだろうか?

 結局、被告側は13:40ギリギリに役員Sと役員Kの2人が入廷、私が会社をやめた二大原因が揃ったわけだ(※19)。しかし、肝心の裁判官は13:40には現れず、5分ほど遅れてやってきた。前の裁判が長引いたらしい。おかげでその5分間は嫌な汗をかいた。

 少し遅れたが裁判開始、被告側は役員Sが答弁するようだ(役員Kは傍聴席)。まずは手元に書類が揃っているかを確認することから始まった。問題なし。次に少額訴訟で進めていいかを原告、被告の双方に確認する。双方が承諾し、これで控訴することは基本的にできなくなった。

 その後、裁判官のほうから私のほうに数点質問があったのでそれに応えるのだが、そのときに役員Sの方から小声で「こいつパーなんだよ」と役員Kと話す声が聞こえる。かなりイラっとしたが、無視して質問に答え終える。

 さて、ここからが本番だ。私は前日に準備書面として被告の答弁書に対する反論を提出していたので、裁判官がそれについて被告に尋ねていく。反論内容は次の通り。

・通勤手当が減っている月がある
・皆勤手当がなくなっている月がある
・資格手当が減っている月がある
・大卒で貰える手当に訂正されていない

 通勤手当については給料明細が証拠であっさり間違いを認めた。

 次に皆勤手当だが、何か支給しない理由となる証拠でも出してくるのかと思いきや、被告の主張は「当時の規定の書類はないが、当時は支給しないという規定だったので、これまでは間違って払っていた」というもの。監督署に説明していたことと同じことを言っているわけだが、証拠となるものは一切ない信用しがたいものだ。

 次に資格手当だが、このあたりから被告の主張が一貫性のない曖昧なものになってくる。被告の主張は「資格取得費用を会社が負担した場合について、手当を支払っている場合も支払っていない場合もある」とかなんとか。これは支払いがあってもおかしくはないということを認めているようにも取れるのだが…??

 続けて「今回、原告が給料の再計算を求めてきたので正しい金額にするために減額した」とのこと。だから、なんで減額するのが正しいのかをちゃんと説明しろと言ってるのだが。その後は、当時の会社の規定が曖昧だったとか、○年○月に新しく決まったなどと、話に進展のないことの繰り返しばかり。

 そして大卒の手当について、裁判官から「なぜ大卒の手当が支給されていないのか」と言う質問に対しては「原告は短大を2回卒業したのと同等で大卒ではないと判断した」という理解に苦しむ主張だ。

 これにはさすがに呆れて言葉を失いそうになった。私は短大を卒業してから別の大学に3年次編入学をして卒業したので、これは間違いなく大卒である(※20)。私の斜め前に座っていた書記官の人は笑いを堪えていたくらいだ。被告のこの答弁によって、大卒の手当を支払うべきところを支払っていなかったことを逆に証明してもらったようなものだ。

15:00、裁判官がひと通り話を聞き終えたので一旦15分の休憩を取ることに。











※18 第一回に登場
現実に実行不可能な仕事や、法律に触れる可能性のある仕事を強要してきた人物


※19
パワハラ役員&給料未払い役員








































※20 当然、卒業証明書もある

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