実録・少額訴訟


第六回 被告からの答弁書


2009年3月17日
 来るだろうとは思っていたが来てほしくないものが来てしまった。被告からの答弁書だ。できれば答弁書の提出なしの口頭弁論欠席で無条件で訴えが認められるのが理想だったのだが、世の中そううまくはいかないものだ。

答弁書の内容だが、想定内というか予想通りのものだった。
・時効が成立している分は払わない
・皆勤手当・資格手当は払い過ぎた分があるので減額する
・監督署の指導(是正勧告)に従ったのですでに解決済

 当然これらについては反論があるのだが、少額訴訟では答弁書に対しての反論を準備書面として提出する必要はない。そのため、このまま裁判の日を迎えてもいいのだが、こちらとしては予めこちらの主張を伝えておきたいので、準備書面を予め提出してもいいかを裁判所に聞きに行くことにする。


2009年3月18日
 裁判所に準備書面のことを聞きに行く。すると、提出しておいたほうが裁判がスムーズになるとのことで、できれば提出しておいたほうがいいと言われる。ならば提出しますとも。

それぞれの答弁に対しての反論を書いていく。
・時効が成立している分は払わない
→時効の期間が経過したのは被告が支払いの延期を求めてきたためであり、それによる時効成立の主張は認められない。

・皆勤手当・資格手当は払い過ぎた分があるので減額する
→過払いはない。また、この減額の調整は原告に対してのみなされており、現在被告会社に在籍中のこの調整に該当する社員に対しては調整をしていないため不当といえる。

・監督署の指導(是正勧告)に従ったのですでに解決済
→被告が是正勧告に従うことが本件の解決ではない

答弁に対しての反論に加え、答弁で明確になっていない部分を追求する。
→平成19年度以降の賃金が平成18年度の賃金より減額される合理的な理由を説明せよ

とまあこんな感じで、どの答弁に対しても反論の余地があり、ある程度の証拠もある。ただ、少々心配なのがこちらの証拠が決定的なものではないということだ。できれば他の社員の給料明細や証言などがあれば決定的なのだが、実際それを手に入れることは極めて困難なことだ。

 民事訴訟法上は相手側にそれらの書類を提出させることはできる(※17)ようなのだが、今回は少額訴訟であるため書類は全て自分で用意する必要があり、その方法は使えない(と裁判所の人が言っていた)。

 とりあえず、早めに準備書面を出しに行こう。









































※17 民事訴訟法 第220条〜

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