実録・少額訴訟


第一回 不当な賃下げ


2005年9月か10月
 入社前の面接で採用時の初任給等が書かれた書類をもらう。
やりたかった職種に就けたこともあり、この頃はかなり嬉しかったはず。


2006年4月1日
 入社


2007年
 この頃からだったか、残業が増え(※1)、仕事の内容が法に触れるようになってくる。原因は会社の役員であるKが勝手に引き受けてくる仕事であり、それは「困難で時間がかかる上に赤字」という酷いものだった。会社の多くの人がこの状態を改善するべきと訴えたが、権限を持った人間が対処しなかったためうまく改善されなかった。


2007年7月13日
 ボーナスが支給される。毎度のこと決して多くはないが貰えない会社もあることを考えると貰えるだけよしとしよう。が、明細に不可解な数字が…

「出勤手当△6000」

??なぜボーナスに出勤手当なる項目があるんだ?しかもこれはマイナスじゃないか。この時はあまり気に留めていなかったのだが、仕事の休憩時間にボーナスの話題が出て話をしていると、その出勤手当は有給休暇を1回使うごとに2000円マイナスになるというものだったのだ。ちょっと待て、有給休暇の使用で賃金が減るのは違法じゃないか(とその時は他の社員の誰かが言っていた)(※2)。

 その後、何日か経過したある日、本社から副社長が就業規則の改定の説明等でこっちの支社にやってきた。改定の説明後、社員からボーナスの減額についての質問がされると副社長は「基本給を下げることは違法だが、ボーナスは問題ないはず」と言ってきた。当時私はその辺の知識がほとんどなかったため(ふーん、そうなのかー)とくらいにしか思わなかった。しかし、すぐさま先輩の社員が「ボーナスを下げるのも違法」と言い返し、最終的には副社長は間違いを認め、今後はこのようなことがないようにすると約束した。

 大体の話が終わり、「他に質問は?」という問いに社員全員特に何も言わなかったのだが…ちょっと待て、みんな大事なことを忘れていないか?みんなが言わないなら私が言うよ?

「減額された分は払ってもらえるんですよね?」

そう、今後是正されるのは当然だが、今回減らされた分は払ってもらわないといけない。しかし、このときの副社長の返答は「すでに支払いが終わったものは追加で支払いません」という主旨のものであった。本当はここで不当であることを言い返せればよかったのだが、当時無知だった私には無理な話だった。











※1 売り上げや利益が上がるような残業ではなく、赤字でどうしようもない仕事を仕方なくこなす状態













※2 労働基準法第136条 使用者は、第39条第1項から第3項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。











 

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