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群馬県神流町(瀬林層)
白亜紀前期アプチアン
竜盤類・獣脚類・スピノサウルス類
歯(GMNH-PV-999)
神流町恐竜センター / 実物化石
1994年1月4日,化石研究家の松本 良輔 氏が汽水域で堆積した瀬林層で貝化石を含む岩石中に大きな歯を発見した.形状は肉食恐竜のものよりも,ワニや海生爬虫類のものに酷似していた.
後にスピノサウルス類のバリオニクス・ワルケリ( Baryonix walkeri )の記載者でもあるイギリス・ロンドン自然史博物館(Natural History Museum)のアンジェラ・ミルナー(Angela Milner) 博士のアドバイスのもと,高倍率顕微鏡で標本の表面の微細構造を観察したところ,スピノサウルス類に特徴的な顆粒状の形状が見られた.
2003年,群馬県立自然史博物館 館長の長谷川 善和 氏らによって,同博物館研究報告論文が発表され,現在,標本は同博物館に寄贈され,収蔵されている.
形状は長さ約5cm,太い部分で直径約2cmのまっすぐな円錐形,前後面にエッジはかすかにしか見られず,表面には細いすじが何本も走っている.歯根の部分も残っていた.
表面の微細構造が観察された結果,スピノサウルス類に特徴的な,エッジを境に左右に末広がりな顆粒状構造が見られた.多種との比較の結果,神流標本の表面の微細構造はバリオニクス,スコミムス( Suchomimus ),シャモサウルス( Siamosaurus )の歯にのみ観察されるものらしい,形状や大きさなどはシャモサウルス のものに類似する.
アジアにおけるスピノサウルス類の発見はこの標本がタイのシャモサウルスに次ぐ2例目で,ゴンドワナ大陸で繁栄したとされる彼らの進化史に一石を投じることだろう.
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