DVDがでたら即買いしようと思っている映画があるが、
その監督がジャック タチだ!
パントマイム芸の芸人で、その映画は
トリュフォーやゴダールにも影響を与えたという。
彼の映画は一応コメディーということになるのだが、
主人公のタチ自身、ほとんどセリフがない。と
いうより、セリフをしゃべらないためにわざと、
つねにパイプをくわえたキャラクターを演じている。
これはチャップリンやキートンのような動きでみせる
無声映画の世界を、トーキー(音付き映画)の時代に
再現したものか、といえば、そうでもないのだ。
彼の映画は、人々が日常のなかで出会うヘンな出来事、
おかしな出来事を、多少誇張して再現したものなのだ。
今でいうなら、さんまのからくりテレビのハプニング
ビデオ集などに近い感じ。タチはこれを「喜劇の民主化」
とよんでいたという。萩本欽ちゃんなども舞台
ではチャップリンに近いが、テレビでは明らかに
タチ寄りである。
今ではテレビという媒体でやっている、簡単に
流れて行き何も残らないようなものを映画にして
おもしろいのか、というかもしれないけど、
そこは映画だ。タチの類い稀なるセンスが
あふれている。デザイン、カラーの素晴らしさ。
そしてお祭りや夏、ひとつの行事が終わる時に
感じるあの淋しい気分。これらが、ともすれば
ストーリー性など無いに等しい、コマ切れになりそうな
シークエンスの連続に整合性を与えている。
あと右の絵を描いてて思ったけど、でかい図体に
つんつるてんの短い服装。帽子をかぶり、晴れてるときも
常に傘を持つ。これってチャップリンの服装と似てる。
もっともチャップリンはつんつるてんの上着に
ダボダボズボンに杖だけど。やはりタチの頭には、
画だけで見せるサイレント映画の復興があったのかも
しれない。
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