2009年俺的アクタガワ賞

 
「みぞれ」
 重松清
★★★
普通に短編集。砲丸ママ、電光セッカチ、メグちゃん危機一髪、へなちょこ立志編、
など、タイトルから先に考えただろ、と思ったり。
「一葉の口紅 曙のリボン」
 群ようこ
★★
樋口一葉の伝記。貧乏で日々の生活と借金に追われ続け、
小説でなんとかしようとするも、24歳で病死。
現在紙幣になっているのはどんな皮肉か。
「夜は短し、歩けよ乙女」
 森見 登美彦
★★★★★
文章も内容も愉快。音読されたものを聞いたら楽しかろう。
CGをたっぷり使った実写映画として脳内上映しながら読んだが、
最後の解説に羽海野チカの描いたキャラが載っているので、
そっちで脳内アニメ上映してもよかったな。
「四畳半神話大系」
 森見 登美彦
★★★
夜は短し〜の登場人物も出演。薔薇色のキャンパスライフを送るために
サークルに入る青年。4つのサークルのうち、どれを選んだかにより分岐した、
パラレルワールド的4つの物語。
「ル・オタク-
 フランスおたく物語」
 清谷信一
★★
フランスでオタクショップをひらいたひと、
14歳のころから外国とか、あちこち行ったりしてる。行動的じゃん。
「時砂の王」
 小川一水
★★★
時をかける男が、ターミネーターのように時間を遡って人類を滅ぼそうとする
宇宙人ロボット群を殲滅するため、卑弥呼+邪馬台国軍と共闘する。
過去を変えると発生する、無数の時間枝のため、もう元の未来へは戻れない。
過去を変えると未来が変わる。未来が変わると過去も変わる。
「クラバート」
 プロイスラー
★★
宮崎駿が全てのものに2面性があっておもしろい、と言っていたやつ。
たくさんの中から選ぶやつとか、魔法で服従させられている、とか、
千尋のモトネタがここにも。
「少女七竃と七人の
  可愛そうな大人」
 桜庭一樹
★★★★
七人とは男七人ではなく、
いろいろな大人七人のことだったのだな。
登場人物みんな可愛そう。可哀そう、でなく。
「グラスホッパー」
 伊坂幸太郎
★★★
殺し屋ぞくぞく登場。リアル世界でリアルな殺しだと怖いよ。
子供がでてきてずいぶん救われる。
「天使と悪魔」
 ダン・ブラウン
★★★
宗教と科学。
そのバランスの各人の考え方の違いにより起こった犯罪。
「田尻智
   ポケモンを創った男」
 宮 昌太朗、田尻 智
★★★
一片のオタクから会社を立ち上げ、世界中に受け入れられるコンテンツを作りあげる。
当然、人柄というのもあるのでしょうな。
「とてつもない日本」
 麻生太郎
★★★
日本の文化はアジアを席巻する。
「うみがめのスープ」
 ポール・スローン
★★★
頭の体操的な文章ひっかけ問題集。
わかるわけねーだろーが、という問題と、
なるほど、と納得する問題が混じっている。
「ハウス オブ ヘル」
 スティーブ・ジャクソン
★★
昔、社会思想社から出てたゲームブックの新訳。
難しいわ。相変わらず指入れてセーブ。それでもダメな場合あり。
ダメ方向は行った瞬間もうダメ。数パラグラフ後に必ず死。
地図書かんとあかんわ。
「鍵」
 乃南アサ
★★
謎の鍵をめぐる事件に巻き込まれる聾女子高生。
ある登場人物の気持ちが全然わかんなかった。
「あやし うらめし
  あな かなし」
 浅田次郎
★★★
タイトル通り、怪しい、恨めしい、嗚呼 哀しい、ホラー的短編集。
「シャトゥーン ヒグマの森」
 増田俊也
★★ ★ ★
ヒグマこえー。でかい凶器の塊が狂気をもって襲ってくる。
ヒグマの頭脳、性格は実際にあった事件を元にしているようで、なおさら怖い。
「たけくらべ」
 樋口一葉
★★
現代語訳というが、原文を尊重しすぎて逆に読みにくい。
句点無し読点のみで2ページくらいひっぱるのは止めれ。
「ブルーヘヴン」
 C・J・ボックス
★★★
殺人を目撃して、孤立無援の幼い姉弟。2人を捜索するのが、その殺人悪徳警官。
そして2人を守る農場のガンコジジイとの対決。
「ライトノベルを書こう!」
 榎本秋
★★★
序破急なんぞ初めて知ったわ。
エヴァンゲリオンの映画の序、破、Qとはこのことだったか。
「暗闇坂の人喰いの木」
 島田荘司
★★★
ホラー調推理小説。トリック的に、そんなアホな、という感じがところどころあり。
「バッカーノ!」
 成田良悟
★★
犯罪組織カモッラの陽気な家族的雰囲気が、向かうところ敵無しといった感じで愉快。
登場人物のボケに対しての作者のツッコミ(説明)がちょっとうるさく感じた。
「催眠 完全版」
 松岡圭佑
★★★
wii、スマブラ、ライアーゲームなど、最近の要素が追加されてるようだ。
ホラーサスペンス的だが、実は心の病と、催眠術による治療の話。
「破船」
 吉野昭
★★★★
家人の誰かが3年、5年と出稼ぎにでなければ生きていけない貧しい江戸時代の漁村。
村人たちは荷をいっぱいに積んだ船を、浜で火を焚いて灯りと勘違いさせて座礁させる。
そして乗組員を皆殺し。積み荷をいただく。しかし、天罰ともいえる災厄が村を襲う。
と、文庫の裏に書いてあったのを読んで、因果応報、悪党の村ざまぁ。と思っていたのですが、
極限の貧しさの描写を読んでいくうちに、天罰とはいえ、あんまりだ、と思うようになる。
「キノの旅」
 時雨沢恵一
★★★★
読み切り短編集。短いせいか、テーマ的なものがほとんど直に書いてある的。
連載ものだったせいか、毎回設定の説明があるのはうざい。
「農耕の起源と栽培植物」
 中尾佐助
★★
宮崎駿のおすすめ新書。
豆、芋は毒のあるものが多い。食べるには毒抜きしなければならず、
毒抜きで水にさらすにはなべ、土器などの器が必要。
小麦の伝播はシュナの旅に影響を与えたと思われる。
「神隠し」
 藤沢周平
★★★
スリラー、サスペンス、推理、人情話、
いろいろなジャンルで書かれた時代短編集。
短編と言わず、おのおの長編ならなおよかったかも。
「海峡の光」
 辻仁成
★★★
昔のいじめっこが今や囚人で、自分は刑務官。
読み終えて、はぁ、そうですか、と思った。
あたしの読み取り能力の無さ?
「わたしを離さないで」
 カズオ イシグロ
★★★
普通の学園ものかと思ったら、設定はSF。
ある宿命を背負った子供達、その友情の軌跡。
「インドなんて二度と行くか!
        ボケ!!」
 さくら剛
★★★★
ニートのインド旅行記。大爆笑。
金のためにガンガン寄ってくるインド人。文字通りハングリー精神。
「タイムリープ」
 高畑京一郎
★★★
時をかける少女アニメ版と似てる。タイムリープという言葉はこの本が元なのか。
危険が迫るとリープするというのも似てる。映画で高いとこから落ちたりするのは。そのせいか。
曜日をあっちこっちリープ、移動するので、週間予定表みたいなのを書いた。
「ダレン・シャン」
 ダレン・シャン
★★★
なにこれこわい。ホラーじゃん。ハリポタは、自分にも
秘められた力があるのだ、という自信と希望を子供らに与えたであろうが、
ダレンの方は、子供らに恐怖と絶望を与えるであろう。ハリポタとは真逆の位置にある作品。
「ジュ・ゲーム・
 モア・ノン・プリュ」
 ブルボン小林
★★★
テレビゲームエッセイ。昔、ゲームは観光だった、とか、
暴力ゲームにツッコミをいれると暴力を相対化できるとか。
「奇跡の人
  ヘレンケラー自伝」
 ヘレン=ケラー
★★★
ん?盲目のはずなのに、目で見たがごとき表現が多数でてきますが。
勉強は健常者に比べて遠回りだと自分では言っておるが、それでもすごいわ。
「神と野獣の日」
 松本清張
★★★
核ミサイルが東京直撃するとの報道でパニックに陥る人々。
オチまで読んで、なんか200ページのショートショートを読んだ様な気になる。
「仄暗い水の底から」
 鈴木光司
★★★
映画原作を含む、水に関係するホラー短編集。
「大江戸観光」
 杉浦日向子
★★★
大店のバカ旦那に生まれ変わりたいという作者だが、
観光のように、俺も江戸へ行ってみたい。住むのはきついがな。
「Uボート 決死の航海」
 ペーター・ブレント
★★★
第2次世界大戦当時の巨大駆逐艦と潜水艦との勝負。
お互いの速さと距離が重要。
「方丈記私記」
 堀田善衛
★★
方丈記に書かれた、地震飢饉火事などの事象と人々を、
東京大空襲と重ね合わせて見る。あと、鴨長明の人となりの追求。
「予告された殺人の記録」
 ガルシア=マルケス
★★★
田舎で起きた殺人事件の30年後に関係者の話を聞く。
当時と,30年後の現在の人々の描写。
「グインサーガ125〜130巻」
  栗本薫
★★★
原作者が亡くなって、物語途中なのに刊行休止。
なんじゃそら。二十年読んで来たわしの立場は。
「嘘神」
 三田村志郎
★★★
映画cubeとかSAWのような密室サバイバルもの。
「紗央里ちゃんの家」
 矢部嵩
★★★
こわいこわいこわいこわいこわい。
きがちがっているかんじがこわい。
「遠野物語 山の人生」
 柳田国男
★★
語り伝えられた民話を集めた「遠野物語」と、
民話として語り継がれるであろう当時の事件を集めた「山の人生」。
人魚の肉とか山に棲む巨人、狼など、
高橋留美子や宮崎駿に影響を与えたと思われる。
では2009年俺的アクタガワ賞は
「夜は短し、歩けよ乙女」


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