2000・10月号
お題『ゲテモノ』の巻

は私の実家は焼鳥屋さん。高岡で夫婦で始め、今年で創業30年になる老舗だったりします。当時、「焼き鳥だけではハヤらない」と考えた亡き父は、色々な珍メニューに果敢にチャレンジしていた。ざっとあげれば、ワニ・ヘビ・スッポン・カエル・ザリガニ等々。しかも、ワニ以外の材料はなんと自分達で用意。つまり、捕まえに行っていたのだ。特にヘビ。仕入先が少なく高価なため、よく休日父と連れだって山に「ヘビ狩り」に行ったものです。おかげで私はすっかりヘビが平気な子供に。でも、冷凍庫からヘビがぼとっと落ちてきたときにはさすがに驚いたけど。我が家では、アイスの横にヘビがいるのはあたりまえ(笑)。

用になるヘビは、このあたりで捕れるものだと、シマヘビとマムシ。いずれにせよ、骨っぽくてあまり美味しいものではないけどね。ま、おじさま方がドリンク剤代わりに食べてるって感じでしょうか。

エルはウシガエルといって、胴の部分が缶ビールぐらいある大きさのやつ。その足の部分を食べる。店では塩焼きで調理していたけど、味は鶏のささみみたいな感じ。意外にクセがなく食べやすい。

敗だったのがザリガニ。ある日、釣りの得意な伯父にも手伝ってもらい、大収穫。生け簀で何日か泥を吐かせ、いざ調理に取りかかったけど、これが全然だめ。欧米で食べてるものは改良したりして、きっと種類が違ったんでしょう。野生化したアメリカザリガニは泥臭くって、どんなふうに調理してもまずいの。

んな珍味の数々を味見させられてきた私。おかげで食べられないものはほとんどなし。ただ、生きているモノをそのまま食べること以外なら。料理されてしまえば、それは残さず食べることが供養だと思うしね。昔まだ小さかった頃、曾婆ちゃん家で誤ってヒヨコを踏んでしまったことがあった。ショックで泣きじゃくる私に、その晩、鳥の照焼きが出された。他にも子供達がいるのに私にだけ。察した私は他の子に譲ろうとしたら、曾婆ちゃんに「おまえが食べなさい」と言われ、泣きながら食べた思い出がある。多分この事件は一生忘れないだろうなあ‥。

私、にゃんき〜ヒロの形成に多大な影響を与えたこの店の名は『鳥やす』。今でも母が元気に切り盛りしています。珍メニューも健在で、マムシの切り身・すずめの姿焼き・ダチョーの照焼き・イグアナ酒などがおすすめよん。興味を持たれた方は一度のぞいてみて!「ビーグル食堂見た」と言ってくれれば、サービスするよう母に言っておくからさ(笑)。