堀田善衛(1918〜1998)
伏木中学校の「海風会館」は堀田善衛の記念館である。同氏が作詞した「伏木中学校の歌」に“海の風”という言葉があり、そこから海風会館と名付けられた。中には堀田善衛文庫があり、蔵書約70冊他が所蔵されている。建物の外観は国際的視野から文学活動を続けた氏と港町伏木にちなみ舟の形をイメージしている。
著書には、「広場の孤独」、「海鳴りの底から」、「方丈記私記」などのほか、画家ゴヤに取り組み昭和52年から62年までスペインを中心にヨーロッパに住んで、「ゴヤ」4冊を完成させた。
また、郷里を扱ったものに「夜来香」、「鶴のいた庭」、「若き日の詩人達の肖像」などがある。
昭和 26年 芥川賞受賞
平成 6年 高岡市名誉市民
平成10年 日本芸術院賞受賞
平成10年 死去(80歳)
(参考)
@、17,3,27付 北日本新聞
異文化情報発信へ 伏木高校に「国際交流科」
本年度から「国際交流科」の単科に学科再編した高岡市の伏木高校は、校内に国際交流室「ル・シエール」を設け、二十六日、開所式を行った。県内各校の国際交流事業に関する資料などを展示、校外に情報発信する。国際交流室は、姉妹校提携を結ぶロシアや米国の高校から贈られた人形や絵本をはじめ、各学校が行った国際交流の事業報告書、各国の現在時刻が分かる世界地図などを展示する。
伏木出身で芥川賞作家の故・堀田善衛さんの著書を展示する「堀田善衛文庫」も開設。同校が所蔵する貴重な初版本を並べた。
約百五十平方メートルで、会議室として使っていた同窓会館二階を改修。「ル・シエール」はフランス語で空を意味し、異文化交流を通じて伏木の空から大きく羽ばたいてほしいという願いを込めた。 開所式で、西井秀子校長が「語学力を向上させるために積極的に活用してほしい」とあいさつ。生徒を代表して国際コースの江添由佳さん(三年)が英語で「最大限活用して夢をかなえるために頑張りたい」と喜びの言葉を述べた。
校長と生徒会長の義浦由宇輔君、ロシア貨物船「オケアン号」のスクリスコフ・エフゲーニー船長の三人でテープカットし、開所を祝った。
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A、17,10,23付 北日本新聞 天地人
昭和二十年三月、終戦間近の中国・上海からヨーロッパに渡ろうと思っていたのが伏木出身の作家、堀田善衛さんである。世界から人が流れ込む当時の上海は、日本軍が要衝を押さえてはいたが、カサブランカのような国際都市だった。日本人街といわれた虹口地区を中心に、このころ約十万の邦人が居住している。中国人に混じり、国を追われ行き場を失ったユダヤ人や白系ロシア人らも住んでいた。 二年あまりの滞在体験をベースに、堀田さんは小説を書き始める。昭和二十六年には「広場の孤独」などで芥川賞を受けた。受賞祝賀会のあいさつで日中関係に触れた堀田さんは、「日本には歴史を繰り返すような社会構造があるのではないか」と、両国の未来に不安を示している。 現代の上海は、堀田さんがいた時代の面影をとどめながらも、急速に発展する中国の勢いを体現する街だ。摩天楼が林立し、商工業の重要な拠点として発展している。観光面の魅力も多い。 富山空港からの四つ目の国際定期航路となる上海便がきょう就航する。ビジネスマンや観光客の相互訪問が活発化するだろう。堀田さんが心配した「日本の社会構造」を変えるのは、地方同士の草の根交流だろう。たとえ政府間が緊張関係にあっても、経済や文化交流を通じて友好を深めたい。