高岡の大仏に寄す
堀 田 善 衛
町なかの 狭きかたえに
身を寄せて 薄き衣に
胸あらわ
カンカンと日の照るときに
汗流し はだら雪
降りつもるとき 身はふるえ
はるかなる天竺より この北国の
片隅に来たり座せる
佛の像
坐り飽きたる さまもなく
撫肩に 伏目にて
通る人をば 見て守る
さるにても その日々の流れの
長さかな
茫然タリ一場ノ夢
われもまた見守られたるその一人
註)何故この詩が大仏寺にあるのか(下記)
記
@
大仏寺の近くに住み、尼講のメンバーだったご婦人の友人が、堀田善衛さんのお母さん(=堀田くにさん)と親しい人だった。
A
そのご婦人が週刊誌・週刊文春(昭和35年6月)に大仏の詩(高岡大仏寺の写真に寄す)が載ったのを知り、その友人を介してお母さんに善衛さんの書(その詩の)を大仏寺に飾りたい旨頼んだ。
B 高岡に好意を持たない善衛氏は拒否したが、母くにさんの再三の説得でやっとOKし、自筆の書を送ってくれたのである。
C
詩は、本文は全く同じだが、題は、高岡大仏寺用に“高岡の大仏に寄す”(週刊誌は“高岡大仏寺の写真に寄す”)に変えられている。
D
真筆は本堂に現在も飾られ、その写しが台座下回廊に飾られている。
(註―2), 平成22年1月23日〜2月28日 高岡市美術館にて「堀田善衛展」が開催され、高岡大仏寺の本堂に掲げられている堀田の詩の「額」が展示された。その時の説明文は下記の通り。
堀田書「高岡の大仏に寄す」
「週刊文春」1960年(昭和35)6月13日号に、高岡の黒い甍の間に鎮座する高岡大仏の写真とともに掲載された詩である。
大仏寺の関係者が母・くにを介して、この詩を寺に飾りたい旨を堀田に依頼し、譲り受けたものとされている。本額は大仏寺の本堂に飾られているもので、その写しが大仏の台座下回廊と高岡市伏木気象資料館に展示されている。
大仏寺蔵