部屋で目が覚めるシンジ。

「知らない、天井だ……」



 第弐話 見知らぬ、天井[みしらぬ、てんじょう]


「あ、そういえば昨日引っ越してきたんだった……」

 碇家は昨日第三新東京市へとゲンドウの仕事の都合で引っ越してきたのだ。

 ――ちなみに、ゲンドウの仕事の都合などとくにない。

 よって、ゲンドウは妻、ユイに何度か殺されかけた。

 ――シンジは知らないが――きっと今見たら気絶しかねない。

「………明日から新しい学校か……」

 シンジは感慨深げに呟いたのだった。



 ――翌日。シンジは第三新東京市立中学校2年A組の黒板の前に立っていた。

「彼が碇シンジ君、みんな仲良くしてあげてね」

 シンジの隣の葛城ミサトがシンジを紹介する。――某テレビ番組最終回と同じようにミサトは教師だ。

「ども、碇シンジです。よろしく」

 そう言って、ペコリと挨拶するシンジ。――そこで、彼の自己紹介は終わった。

「……と、それじゃシンジ君の席は前から三列目の窓側の席が空いてるわね。そこに座って……」

「あ、はい……」

 ――こうして、碇シンジ(14)の新しい生活が始まった。




 はい、休み時間。


 シンジは転校生なら必ず通る質問攻め………にはあわなかった。

 ここ、第三新東京市は今、人が入ってきている。転校生も日常茶飯事だったので、クラスの連中も慣れてしまったのだ。


 シンジは覚悟完了!で、来たのだが、拍子抜けした。

 とりあえず、次の時間の用意をする。――そうしていると、ジャージを着た少年と眼鏡をかけた少年がシンジに近づいてきた。

「シンジ、ゆうたな。ワシは鈴原トウジっちゅんやけど、まぁよろしゅう」

 関西弁モドキで話し掛けてくるジャージの少年――鈴原トウジ。

「ま、暑苦しいやつだけどよろしく頼むね。あ、俺相田、相田ケンスケってゆーんだ」

 そんなトウジを見て、一言付け加える眼鏡の少年――相田ケンスケ。

「あ、うん……よろしく」

 シンジはそう答え、これからの生活が充実することを願った。




 んで、放課後。シンジはトウジとケンスケに一通り学校を案内してもらい、町に出ていた。

「そういや、シンジ。お前んとこの家どういった仕事しとんのや?」

「え? 父さんはネルフって言う会社でプログラマーをしているらし……」

「ネルフって、あのネルフか!?」

 シンジがそこまで言いかけると、突然ケンスケが問い掛ける。

「なんや?ネルフって? ケンスケ、どんな会社なんや?」

「ネルフって有名な同人ゲーム開発会社だよ。確か親会社はアニメ製作会社のゼーレだったかな」

「多分そのネルフだと思う……」

 控えめにそう告げるシンジ。

「でも、なんでここにこしてきたんやろ?」

「さぁ、父さんの考えていることは(違う意味で)良くわかんないから」

 トウジの問いに対するシンジの答えに二人はふ〜んとうなずいただけだった。



 ――有限会社ネルフ。その会議室。チーフプログラマーの碇ゲンドウはシナリオライターの冬月コウゾウを脇に立たせ、親会社の上層部との会議を開いていた。

「碇、貴様の趣味のせいで本来の計画に遅延が見られる」

「問題ありません。ゲーム開発はスケジュールどうりに進んでいます」

「ふん、どうだか。聞けば、君は家族といっしょに第三新東京市に引っ越したそうじゃないか」

「些細な問題です。電気とコンピュータとアセンブラ言語があればどこでもプログラムできます」


                  ※アセンブラ言語……プログラム言語の一種。

「碇、スケジュールの遅延は認められん。まぁ経費と人員は考慮しておこう……解散」

 一ちゃん偉そーな老人がそう言うと、次々にホログラムが消え、暗闇の中にゲンドウと冬月が残された。

「碇、今まで掲示板、チャット、電子メールを介して進められてきたゲーム開発が変わるのだな?」

「あぁ、ここで、一旗あげようと考えている……老人達には何もできんさ」

 ゲンドウはニヤリと笑った。




 ――夜。碇一家は夕食を食していた。

 ゲンドウの顔の形が微妙にゆがんでいるが、それはゲンドウが夕食の時間に遅れ食事が冷めたのに怒ったユイのシンジに気づかれないようにして行われた制裁のせいではない。

「それじゃ、いただこうか」

 ゲンドウの一声で、食事に取り掛かる。

「――シンジよ。新しい学校はどうだった?友人はできたか?」

「うん。一応。……ところで、父さん。今日そこからの帰りにいわれたんだけど、ネルフってゲーム製作会社なの?」

 その一言で、ゲンドウは固まる……ややあって、口を開いた。

「他にもネルフと言う会社があるとはな……」

 この苦しい言い訳以後、極端に口数が減るゲンドウ。ユイの視線も心なしか鋭い。

 ――シンジはなんかギスギスしてると感じたが、そこまでだった。




 夕食後、シンジはテレビをちょっと見たあと、明かりもつけず、ベッドで寝転んでいた。

 ――ふすまが開く。――ゲンドウだ。

「シンジ……実は私の働いているネルフは……!な……」

 そこで、途切れる。シンジは振り返ったが、そこには誰もいなかった。

「……シンジ、どうしたの?」

 そうしているとユイが顔を覗かす。――手に何かがついているのは気のせいだ。

「え?さっき父さんの声が聞こえたんだけど、母さん見なかった?」

「見てないけど……気のせいだったんじゃない?」

「………そうかも。じゃ、母さんお休み」

「おやすみなさい」

 シンジは眠った。

 ――これからが本番ね。ユイは少し離れたところに転がっているものを見た。





 ――次回予告

 ティトティトティティティティティティティティティトティティティ
(次回予告の時にかかってるやつ)

 21世紀1月1日に次話を書くことによって、今世紀エヴァンゲリオンというタイトルを守った作者。

 ――しかし、ネタ切れと言う新たな敵が現れつつあった。

 綾波は、アスカは?どう言う設定にしょう?

 そんなときに現れたご都合主義で登場の転校生!

 次回、
 鳴らない、電話

 次回もサービスサービスぅ


今世紀エヴァンゲリオン トップへ