「……我誓いし癒しの神よかの者に癒しを与えたまえ………」
淡い光がイーグルを包み、晴れる。イーグルは自らの胸に手をやり骨折した個所を確かめた。
「あ、くっついてる……すみません」
「いいのよ。私のことで負った傷なんだし……とりあえず、詳しい説明は中に入ってからね」
「まずは、自己紹介をしておくわね。私はセシリア・クリスティーナ。あなたたちは?」
「イーグル・レイバークです」
「ボクの名はラファールさ」(キラリン☆)
「……それで、一体どうして、悪魔なんかに狙われていたんですか?」
「それは、これのせいよ……あいつらはこの剣を渡せと言っていたの」
そう言いながら、セシリアは封印の施されている剣を持ち出した。
「………これは……ちょっと貸してください!」
そう言うと、イーグルはセシリアの返事を聞く前に、奪うようにして剣を調べ始めた。
「どったの? イーグル?」
「……やっぱり……ラファールさん、これ封印の他に刃の中に本物の刃が入ってます」
「? それがどうかしたのかい?」
「いえ、この剣から、人ならざる者の力……と言うより、意志を感じるんです………」
ファイティングヒーロー
THE FIGHTING HERO!
「意志……?」
「はい……この剣から感じるんです」
「……その剣を調べるのはもう止めた方がいい……もう二度と貴様らが手に入れることはないのだからな」
その時、不意に声が聞こえた。
席を立ち、外へと飛び出す三人。……そこには二体のオークと一人の男の姿があった――いや、悪魔だ。
「……その剣、渡してもらう」
「これは……あなた方に渡すものではありません」
イーグルは自分の後ろに剣をつきたてた。
それをおもしろそうに眺める悪魔。
「……私が出るまでもなかろう。オーク」
悪魔の号令の元二体のオークが悪魔の前に出、戦闘体勢に入った。
「まったく、ラファールさん、因果な性分だと思いませんか?」
「そだね。でも、原因は君にあるよ」
二人は軽口をたたき合うそれは内面のプレッシャーを押し隠すための行動だった。
「……私にも原因があるし、手伝うわ……因果律崩壊!」
その掛け声にあわせ、一体のオークの周囲の空間がゆがみ始める。
数瞬後、オークの姿は消えた。
――魔法と呼ばれる物理法則は魔人族のみが使用でき、人間族は使えない。だが、準魔法と呼ばれるものならば、ある一部の人間には使用可能だ。
「ふふ……まだまだ」
悪魔がそう言うと、次々と地面からオークが姿を現す。
「あ〜あ、際限なしかぁ」
ぼやくラファール。
「ボヤッキーって改名したらどうですか?」
「古いね、君も」
口を動かしながらも、二人は次々とオークをしとめていく。
「邪気よ、消えよ!聖呼天音!」
セシリアはその余裕もないようだった。
いつまでも続くと思われた、オークの増援は急に止まった。
――それにあわせるように、今まで戦っていたオークの動きも止まる。
指揮をとっていた悪魔の表情にもあせりがはっきりと現れていた。
「……これは……ティンクル反応……!? 一体どこから……?」
「……ティンクル反応?」
悪魔の呟きを聞き逃さず、呟きながら、一応記憶にとどめておくイーグル。
「……貴様らに付き合っている暇はなくなった……その剣はいつでも奪い返せるからな……ふふ……己の後ろに気をつけておけよ」
そう言い、悪魔と、オークたちは地面に沈んでいき……姿を消した。
「……ラファールさん、どうしましょう? 悪魔なんかに目、つけられちゃいましたよ」
「う〜ん……とりあえず、君、ボクと付き合わないかい?」
真剣な表情で、ラファールはセシリアの手を握ったのだった……。
「……とりあえず、私の命も狙われてるんだし、あなたたちに付いってったほうがいいわね
ねえ、連れてって」
「いえ……ここだけの話なんですけど、僕達はきわめて個人的な理由でレージートに反抗してるんですよ」
「あ、だいじょぶ。私もレージートにはあんまいい思いはないから」
「じゃ、OKだね」v(^^
こうして、無理矢理セシリアは、二人といっしょに行動をともにする事になった。
三人は、とりあえず場所を宿屋に移した。
――翌日。
三人はウィルナへと旅路を急いだ。
その行程はとくに障害もなかったので、割愛する。
あえて記述するなら、何者かの回し者のコボルトが出てきたくらいだ。
三人はウィルナへの航路がある港町、ヴェルゼットへとついた。
「じゃ、チケット買ってきてね」
「おねがい」
ついてすぐ、ラファールとセシリアは同時にイーグルの肩に手を置いた。
「……全く、しょうがないですね……買ってきますから、二人とも迷子にならないで下さいよ」
そう捨てゼリフを残し、イーグルはチケット売り場へ向かった。
――三十分後。
ウィルナへと向かう定期船、「ラドファージュ」が出向した。その甲板の上にはイーグル、ラファール、セシリアの三人の姿があった……。
――更に三十分たち、三人はウィルナへと上陸した……。
作者S反省。
ドリームキャスト生産停止を聞いて、創作に思いをはせ、自分をごまかすしかない状況。
>原作者RAINHALTさん
こっちのイーグル君は成長型ではありません。――活躍させますよ。
どんどんオリジナルの方向へと進みつつあるW・D版FH。好御期待!