イーグルとラファールがタマラスを後にして数日が経った。あれ以来後をつけて来る者はいない。
二人は一般的に使用されている街道を使っていた。――レージートを潰すといっても、具体的な策は無い……どんなに腕が良くても二人だけでは数で負けてしまう。
「……やっぱ仲間かな〜」
「……ですね」
ファイティングヒーロー
THE FIGHTING HERO!
二人は都市国家ローグタウンへと来ていた。
――ローグタウンは痩せた土地にあり、とりあえず交通の要所ということで成り立っている。……しかしこの都市国家の主要産業は傭兵業だ。
――優秀な傭兵を育て、雇い先を紹介または傭兵の紹介を行いその手数料で国が成り立っている。貧しい土地、というのが精神的にも強く育てる事への一因となっている。
「……ラファールさん、ローグタウンまで来てどうするつもりなんですか?」
「ここの主要産業、知ってるだろ?」
「傭兵なら無理だと思いますよ」
「? どうしてだい?」
「まず、第一に個人で傭兵は雇えない。第二にお金。第三にここは海一つ挟んでレージートがあって下手な真似はできない。他には……」
指折り数えながら言っていくイーグル。
「………う、まぁそうだけど。傭兵だけじゃないだろう?」Σ(−−
「どういうことですか?」
「こういうこと♪」
そう言い、ラファールは手近な酒場へと入る。未成年だからかイーグルは一瞬とまどいながらも、ラファールに続いた。
――酒場の中は地獄と化していた。後ろの垂れ幕には「ウォッカ一気飲み大会」とかかれている。
屍が累々と横たわる中、平気なのはイーグルにラファール、酒場のマスターと、一人の少女だった。
少女は…………飲んでいた。
「んぐんぐんぐんぐ……次の酒持ってこ〜い!」(=q=凸
その状況で、ラファールは……ナンパを始めた。
「ねえ、君いくつ?」
――ラファールさん、女性に年齢は聞かない方がいいと思いますよ……。――酒の臭いでか、イーグルの思考路線は少々外れている。
「………あんた誰?それよりもぉおさぁけぇぇぇ!!」凸(==
そう言い、女性は「白酒 悪魔殺し」の入った一升瓶をラファールに投げつける。………HIT!!
「きゅ〜〜」(××
普通倒れる時には使わないことを言いながらラファールはぶっ倒れる。
「うみゅ〜〜お酒ぇ……」(=T
そう言いながら、少女は……ぶっ倒れた。
「…………!あ、ラファールさんしっかりしてください」(○・!
我にかえったイーグルはラファールの頬をたたく。
「うう……ぶったんだぁお父さんにもぶたれたこたぁ無かったんだよ、ボクぁ」(TT
イーグルはその調子なら大丈夫ですねと言いながら立ち上がり、酒場のマスターの方を見る。
「ご迷惑おかけしました」(_ _)
「……いや、実害は無いからいいよ………ちなみに言っとくが、ここは女、子供……ましてはいっちょ前のなりをしたガキが来るとこじゃねぇんだよ」(−−
「手厳しいですね。(^^
それではこれで……ほら、ラファールさん」
「うん……では、このお嬢さんは『ボク』が責任を持って……」
「送り狼ですか?」
「……そうそう!……って、違って。ふつ〜に送ってくだけだって」凸(▽▽
「……ま、大丈夫か……ほれ、地図だ。持ってけ」(−−
「どうも、ありがとうございます」
その少女の家はマスターの書いた地図によると西側にあるらしい。
二人はそれらしい家の前についた……。
「? ラファールさん」
「ん? お客みたいだね……ほら、起きて!」
そう言いラファールは強固に自分が担ぐ!といって一人で負んぶしていた少女を下ろして軽く頬をたたく。
「んみぃ? なに?………あれ?どうして私ここに……?」
「……君にお客さんみたいだよ……ただ、歓迎できる性質じゃないけどね」
ラファールがそう言うと、空気の気配が変わるそして、家の前に一人の小太りの人物……いや、人ではない。悪魔の中でも比較的弱い方に分類されている(それでも並みの戦士より能力は上だが……)オークだ。――見た目は太った兎さ耳(ただし萌度0%)豚だが……
「……俺に気づくとは……楽しませてくれそうだ。だが、今はお前に用事が会ってなぁ。あの剣、渡してもらおう!」
「や」(−−
「なに?」
「や。帰って!」
「……ならば、力に訴える」
一文字で断られオークは実力行使に訴ることにした。
「……嫌がっているのに無理やり自分の意見を押し付けるなんて……感心できませんね」
「女の子に悪さする奴は僕の敵さ☆」(キラリン!)
イーグルとラファールはオークと少女の間に割ってはいる。
「ほぉ、俺には向かうとな?おもしろい……」
オークはその巨体を利用し体当たりをかける。動き事体は単調だが、二人の後ろには少女がいるのだ――二人には避けようが無かった……。
「ふぅじんざぁぁぁぁぁん!」
「そこかい?」
イーグルは風刃斬――剣から放たれる衝撃波――を、オークの頭部へ。
ラファールは貫通弾を足、胴体に撃ち込む。
「な!?」
オークはそこで息絶える――ただし、体当たりの勢いはそのままだ。
「くっ!」
イーグルは剣でガードしながらも、オークの体当たりを体で受け止める。
――吹き飛ばされそうになったが、何とか持ちこたえた。
「ふぅ……」
「無茶するね〜。君も」
拳銃を懐にしまいながらラファールはイーグルを冷やかす。
「大丈夫ですよ。アバラが二、三本折れちゃったかもしれませんけど」(^^
ラファールの冷やかしに笑顔で答えるイーグル。
「………どうにかなるわ」
「え?」
イーグルとラファールは少女の方を向く。
少女はイーグルに歩み寄ると小さく呪文を呟き始めた。
「……我誓いし癒しの神よかの者に癒しを与えたまえ………」
淡い光がイーグルを包み、晴れる。イーグルは自らの胸に手をやり骨折した個所を確かめた。
「あ、くっついてる……すみません」
「いいのよ。私のことで負った傷なんだし……とりあえず、詳しい説明は中に入ってからね」