過去大規模な戦(いくさ)があった……。
その戦では最悪の細菌兵器…“Baikin”が使用された…

 ――戦も終わり、しばらくがたった頃……一つの変化が訪れた……。
作られた異端者……PanKinの登場である……。



〜The Anpan○an〜



(テーマ音楽)


なにが君の しあわせ…
なにをして よろこぶ…
わからないまま おわる…
…そんなのは いやだ!

忘れないで 夢を…
こぼさないで 涙…
だから 君は とぶんだ…
…どこまでも…

…そうだ おそれないで
みんなのために…
愛と 勇気だけが ともだちさ…
ああ Anpan○an…
…やさしい 君は
いけ…! みんなの夢 まもるため…



(本編)


――第一話――
「Code:Ann〜」


 ――Pan研究所
……それはPanを研究しそれらを利用してKinを倒すために設けられた研究機関である……。

――Pan研究所所長室には一人の老人の姿があった。
彼はJam。このPan研究所の所長であり、
職員は親しみを込めて彼の事をJam叔父さんと呼ぶ。

 そのJam所長は座っている椅子に背を預け天井を眺めていた。
彼は現在テスト中の新たなPanについて思いを巡らせていた……。

 どうにも予定通りの力が出ないのである……。
――ただでさえ戦闘用Panが不足していると言うのに……。Jamは一旦考える事を止め日常業務を片付ける事に専念した。

「――失礼します。Jam叔父さん、戦況報告を持ってきました」
 ……一時間ほどたっただろうか。一人の女性が数枚の書類を持って入ってくる。……その表情は暗い。
彼女はJamの秘書兼助手を勤めるBatakoである。――Batakoの表情を見、Jamは表情を曇らせた。

「……その表情だとだいたいのところは分かるが……詳しい事を報告してくれないかね?」
「はい……SalmonellaKin、PiroriKinに対しKanPan_man、Choco-rollPan_naを出撃させましたが……30分後、反応が消えました……。」
 ――表情を曇らせわずかに下を向くJam……これで実働できる戦闘用Panは残り一体…MamePan_manだけとなったのだ……。

「ただ……」
 報告を続けるBatakoにJamは顔を上げる。
「……偵察班からの報告なのですが、SalmonellaKinの撃破には成功したそうです」
「ふむ……だが相手はKinだ……我々が不利なのは変わらず、か……Batako、Anpan○anはどうなっている?」

「はい……顔の設計まで終了しました……。明日700に完成予定です」
「ふむ……Anpan○anは我々の最後の切り札だ……警戒は厳重にするんだ!」
「わかりました……偵察班に活を入れておきますね」
「うむ、頼んだぞ」


 ――Pan偵察班そこにはJamに頼まれてきたBatakoと偵察班長CheesePan_manの姿があった
……ただ本人は名犬Cheeseと名乗っているが……。

「……ふむ、ようは俺たちはこの周囲を厳重に警戒してKinの連中を発見したら知らせりゃいいんだな?」
「はい、そういうことです。……戦闘は別の班が行いますのでくれぐれも倒そうとは思わないように」
「へいへい……分はわきまえてるつもりだよ……それじゃぁな」
 Batakoにひらひらと手を振りながらも立ち去るCheese……だがその胸中は別のところにあった……

 ――深夜、Pan中央責任部
そこには製造責任者として、Jamの姿があった。
「それでは、Pan定着のための焼き上げを行なう!」
 Jamの号令と共に各々の職員から報告があがってくる。

――大気Pan濃度上昇を確認……。
――異端「戦士(ファイター)」を注入。
――Koubo、投入します。

「Anpan○an、焼き上げ開始されました。各部署厳戒体勢!」
 と、突然ブザーが鳴り響いた。Jamのすぐそばにある電話のコール音が響く。

「――Jamだ……何っ! Kinの進入を許しただって! くっ……MamePan_manを出せ!
 非戦闘班は、直ちにシェルター内に避難。Panコア(焼き釜)を周囲から隔離するんだ!」
ただでさえ焼き上げで忙しかった中央責任部に更に重圧がかかってくる。
Jamも自ら端末を操り指示を出していた。

「――! そんな……! ……MamePan_manが……やられました……」
 戦闘の最中、Batakoからの報告が入る。
――愕然とした中央責任部に音声通信が入った。

「――お前らはAnpan○anの製造に全力をあげてくれ、ここは俺たちが食い止める!」

 ――通信をしてきたのは満身創痍といった面持ちのCheeseである。
その後ろにはCheeseの部下たちの姿もあった――。

「Cheese……死ぬ事は私が許さんぞ」
 確認するように話し掛けるJam、Cheeseはそれに答えるように力強く頷いたのだった……




(アイキャッチ)





 Pan研究所屋外では、偵察班とPiroriKinの熾烈を極める戦いが続いていた。
「HAHAHA……楽しいヨ! 偵察班がここまでやるとはナ!」
 偵察班員の骸(むくろ)を両手に持ち、余裕たっぷりに言うPiroriKin。

「へっ……俺も偵察だけってのには飽き飽きしていたんだ……この機会は逃せないんでね!」
 そう言ってCheeseはPiroriKinと向かい合う。
――口調とは裏腹に彼はKinの力を侮っていた事に今更ながら半ば後悔していた。

「Hum。そうカそうカ……But! ワタシには目的があるのダ! 君たちと遊んでいる時間はないんだヨ!」
 そう言うと、PiroriKinはCheeseの腹部に強烈な一撃を御見舞いする。
ぐったりとその場に崩れ落ちるCheese。

 彼はPiroriKinの「HAHAHA! また遊んでやるゼ!」と言う声を聞いたような気がした……。


「……偵察班……応答なくなりました……
おそらく……全滅、です……」
 ――Batakoの報告に周囲は静寂に包まれた。

 そこここで爆発音が聞こえ始める……PiroriKinの所為だろうか……こちらに向かっているようにも聞こえた。


 ――ひときわ大きい爆発音と共に中央責任部と廊下を隔てていた扉が吹き飛んだ!
煙の中から人影が現れる――。

「HAHAHA! Panの諸君、元気かナ! 殺しにきたヨ!
……オヤ、これはJamじゃないカ、元気にやっていたかイ?」
 ……PiroriKinである、彼は目ざとくJamに気づきまるで親しい友人のように声をかけてくる。

「……まぁ、元気だよ。 ――そうそう、扉は静かに開けてくれると助かるな」
「ふム、君の強がりは相変わらズ面白くないナ! HAHAHA!三流だヨ!
やっぱリ、ココは先が短いモンから殺すのが世のためだろウ……感謝するんだナ!」

 ニヤリと笑ってJamに腕を振り上げるPiroriKin――だが、その腕が振り下ろされる事は無かった。

「――ヌ! キサマはPan! チッ…完成していたのカ……
まァいい……ワタシが相手をしてあげよウ!」
 そう言って、左手を首元に、右手を胸の前に突き出し、素立ちと言うKin独特の構えをとるPiroriKin。

「……私と戦うのか……」
 そう言って、構えをとる見知らぬPan……その様子を呆然と見ていたJamはある一つの事実に気がついた。
「――! あれは……Anpan○an……! おおっ…ついに完成したか……」
 Jamはその事実に気がつくと、総員退避を出す。
――Anpan○anが完成した今、ここにいても戦闘に巻きこまれるだけだからだ。

「ヌ……まァいい……Anpan○anを倒してから殺すだけだから……ナ!」
 PiroriKinはJamたちPan研究所の職員を無視し、Anpan○anに向かって突進していった。
右手でAnpan○anの肩を取ると、左手で頭を掴む。

「HAHAHA! Panは頭が欠けるだけで行動できなくなル不良品揃……ぐがッ!」
 不気味な笑みに彩られていたPiroriKin。
――だが、その表情はAnpan○anが彼の左腕を掴み押しつぶしたことで消え去った。

「……誰かは知らんが……どうやら倒すべき存在のようだ……一撃で終わらせる!」
 Anpan○anは呆然としているPiroriKinの右手をも砕くと腰だめに拳を繰り出す。

「……これでトドメだ……Anti Absolute bAcillieN・Punch(アーーン・パァーンチッ!)

「ぐわぁぁぁぁぁ!! こ、こんな……このワタシガ! 何たることダ……!」
 流石Kin、と言ったところか、AAANパンチを腹部に受けて、PiroriKinはまだ立っていた。

「何……? 耐えきったのか……」
「HUHUHU……面白イ実に面白イ……。Anpan○an、また会おウ! さらばダ!
――ByeBye KiiiNN!」
 PiroriKinはそう叫ぶと何処かへと消え去ったのだった……。


 ――朝。Pan研究所……そこにはJam、Batakoら職員とAnpan○an……それとCheeseの姿があった。
「そうかい……なんとか撃退してくれたか……。すまねぇな、Anpan○an」
「……誰だ?」
「おっと、自己紹介が遅れちまったな。俺は名犬Cheeseだ」
「Cheeseか……よろしく頼む」

「私はBatako。よろしくね、Anpan○an」
「……Batakoさん、よろしく頼みます」

「私はJamだ……。みんなはJam叔父さんと呼ぶ……。
呼び方はAnpan○an君に任せるよ」
「そうか……よろしく頼みます――Jam叔父さん」
 そう言って握手する二人。

 彼らの前にはKinの猛攻が待っているだろう……。
だが、世界の平和のためにも彼らの歩みが止まる事はないだろう……。


――続く。




(エンディング)


もし…自信をなくして くじけそうになったら
いいことだけ… いいことだけ… …思い出せ
そうさ空と海を越えて… 風のように走れ…
夢…と愛…をつれて 地球をひとっとび…
Anpan○anは…君さ …元気を出して
Anpan○anは…君さ …力のかぎり
ほら きらめくよ…
君は…やさしいヒーローさ



――次回予告
 Kinにとって新たな脅威――Anpan○an。
彼に接触し敗れたPiroriKinは力を欲した……。

次回
〜The Anpan○an〜
「Code:Baikin」





 注:続きません!

 始めは、愛と勇気だけが…というあのテーマに沿って、
食パ○マンやカレー○ンマンたちとは友人ではなく
ばい菌マンを倒す同士(又は仲間)である。
ってな話を考えていたんですが、どこをどうしたらこうなるのやら……

 中途半端固ゆで卵となってしまいました……。


※この駄文はいかなるヒーローとも無縁であります。
またいかなるヒーローをも侮辱する意図はありませんのでご了承ください。



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