高岡市は4月13日に都市計画審議会を開催し、高岡鋳物発祥の地である金屋町一帯 6.4 ha を「市の伝統的建造物群保存地区」に指定する都市計画決定をしました。伝建指定は、市が目指している国の重要伝統的建造物群保存地区に向けた取り組みで、8月に国に申請し、12月頃には重要伝統的建造物群保存地区として指定される見込みです。伝建や重伝建に指定されると町並み保存事業などに国の補助を受けることができます。
|
重要伝統的建造物群保存地区は、文化財保護法により、城下町・宿場町・門前町・寺内町・港町・農村・漁村などの伝統的建造物群およびこれと一体をなして歴史的風致を形成している環境を保存し文化財としての建造物を「点」ではなく「面」で保存しようとするもので、保存地区内では社寺・民家・蔵などの「建築物」はもちろん、門・土塀・石垣・水路・墓・石塔・石仏・燈籠などの「工作物」、庭園・生垣・樹木・水路などの「環境物件」を特定し保存措置を図ることとしています。
|
高岡鋳物発祥地の金屋町 狭間格子砥石畳みの通り
|
金屋町の町並は千保川に沿ってほぼ直線的に 500mほどの間を途切れることなく続いていて、中二階、出桁造り、袖壁を妻部に備えた切妻平入りの町家群で、1階部分の端正な狭間格子、2階部分の袖壁にまで見られる真壁など、北陸の町家建築の特徴が余すことなく表現されています。軒に張出した桁が銅板で被覆されていたり、細やかなところにも手抜きをしない意匠の確かさは、鋳物産業により繁栄を極めた職人たちのこだわりを見せています。
|
加賀藩主前田利長が近隣の西部金屋の郷から招いた7人の鋳物師から始まり、幕末には40人を数え、高岡を代表する産業集落となりました。生産するものも鉄器から銅器へと発展し、高岡銅器の名を知らしめています。これらの家々は奥行が深く、街路に面した母屋の裏側に中庭を挟んで作業所を構えていて、作業所は土蔵造りとなっています。川に近いところが選ばれたことを含め、これらは火災対策であり、原材料や燃料及び製品の輸送面でも考慮されていて、町の重要産業を護る智恵が町並みを創出しています。
|