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トピックス No.235
2012/01/16
江戸期の唐紙
勝興寺で18世紀後半の菊・桐紋唐紙を発見
大広間などの襖を格調高く再現

 高岡市伏木古国府の国重要文化財・勝興寺では「平成の大修理」が行われていて、本坊大広間で江戸期の18世紀後半に使われたとみられる菊紋と桐紋の入った唐紙が発見されました。唐紙がこの大広間で見つかったのは初めてのことで、今般の大修理ではこの唐紙に描かれていた模様を襖に再現することで、大寺院の格式にふさわしい空間になると期待が高まっています。 

発見された菊・桐紋唐紙
 
 菊・桐紋唐紙は大広間の解体作業を行っていたところ、床の間の壁の中から見つかったもので、この大広間は1671(寛文11)年に造られ、18世紀後半に大規模な増改築が行われています。発見時、唐紙は模様のある面が壁の裏側になっていて、近くに日本では明治期以降に普及した洋釘も見つかっています。18世紀後半の大規模増改築で使用された唐紙が、明治期以降の修繕の際に、壁紙の下地として再利用されたものと推測されています。
 
 唐紙は主に襖の表張りに使われていますが、見つかった唐紙は縦約50cm横約66cm、崩した「卍」を組み合わせた「紗綾形」と呼ばれる地紋の入った薄い灰色の和紙に、緑色の顔料で菊紋と桐紋が描かれています。描かれていた菊と桐はともに格式のある紋であり、一般庶民が簡単に使えるような唐紙ではなかったのではないかと思われます。
 
 見つかった唐紙は同寺で保存し“復元版”を東京の和紙問屋に発注されます。復元した唐紙は、大広間や玄関の間など少なくとも 7部屋のふすまに採用する計画です。18世紀後半は勝興寺の全盛期であり、大修理で復元を目指している年代とも一致します。これまで大広間にふさわしい模様の手掛かりがなく、襖を無地にすることも検討されていましたが、菊桐紋で統一することによって、格式高い空間にななると思われます。本坊の修理は2017年度までに完了します。

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