.
K's-forumindex へ
トピックス No.214
2011/03/01
七堂伽藍の復元構想の支援事業第1弾
国宝 瑞龍寺で 夜の祈りと大福市 が開催
トイレの神様 烏瑟沙摩明王 に大勢の人たちが手を合わせていた

 国宝 瑞龍寺では、明治時代以降に失われたままになっている七間浄頭=便所=と浴室を加えた七堂伽藍の復元構想があり、支援事業の第1弾として「夜の祈りと大福市」が企画されました。国宝の山門や仏殿、法堂などが白い光に照らされ夜空に浮かび上がり、境内は荘厳な雰囲気に包まれていました。烏瑟沙摩明王が祭られている法堂の広間は、「トイレの神様」を間近で拝もうという人が、願いを込めて手を合わせていました。寺の台所に当たる大庫裏では、来場者の健康や長寿を願う「和漢膳粥」が振る舞われました。
 


 烏瑟沙摩明王は人間界と仏の世界を隔てる天界の「火生三昧」と呼ばれる炎の世界に住し、人間界の煩悩が仏の世界へ波及しないよう聖なる炎によって煩悩や欲望を焼き尽くす反面、仏の教えを素直に信じない民衆を何としても救わんとする慈悲の怒りを以て人々を目覚めさせようとする明王の一尊であり、天台宗に伝承される密教においては、明王の中でも特に中心的役割を果たす五大明王の一尊に数えられています。
 
 烏瑟沙摩明王は古代インド神話において元の名をウッチュシュマ、或いはアグニと呼ばれた炎の神であり「この世の一切の汚れを焼き尽くす」功徳を持ち、仏教に包括された後も「烈火で不浄を清浄と化す」神力を持つことから、心の浄化はもとより日々の生活のあらゆる現実的な不浄を清める功徳があるとする、幅広い解釈によってあらゆる層の人々に信仰されてきた火の仏である。意訳から不浄潔金剛や火頭金剛とも呼ばれています。特に有名な功徳としては便所の清めです。便所は古くから「怨霊や悪魔の出入口」と考える思想があったことから、現実的に不潔な場所であり怨霊の侵入箇所でもあった便所を、烏枢沙摩明王の炎の功徳によって清浄な場所に変えるという信仰が広まり今に伝わっています。また、この明王は胎内にいる女児を男児に変化させる超能力を持っているとも言われ、これが「烏枢沙摩明王変化男児法」という祈願法として今に伝わっていて、男児を求めた戦国時代の武将に広く信仰されてきました。
 
 烏瑟沙摩明王は彫像や絵巻などに残る姿が一面六臂であったり三面八臂であるなど、他の明王に比べて表現にばらつきがあるが、主に右足を大きく上げて片足で立った姿であることが多い。髪は火炎の勢いによって大きく逆立ち、憤怒相で全ての不浄を焼き尽くす功徳を表している。また複数ある手には輪宝や弓矢などをそれぞれ把持した姿で表現されることも多く、瑞龍寺に現存する烏瑟沙摩明王像は仏師年代が不明ですが、日本最古にして最大級で、像高 117cm、鎌倉末期の特徴を示し、極彩色が残ってます。
 

   .