投稿レポート  NO 3 「支援センターのあり方」

次世代の社会福祉士を育てる教員という立場で「こうなってほしいなあ〜」という角度からのご意見をいただきました。医療の現場においても数多くのソーシャルワーカーがご活躍になっておられます。
保健・医療・福祉の連携が叫ばれる中、専門職お互いの立場で、真の意味のネットワーク作りが望まれるものと考えますが、特に相談専門職の役割は重要だと思います。
私は「資格は仕事をしない」と良く言いますが(とは言え資格が無くては仕事が出来ませんが・・・)、仕事の出来る相談専門職を数多く育てていただきたいものだと思います。

レポートをご紹介いたします。

「支援センターのあり方」

1.利用者の動向と傾向
 問題を持つ利用者、あるいは今後、問題を持つと予測される利用者がまず相談に訪れる先は、福祉系のデバイス(機関)ではなく、医療系のデバイスが多い。高齢者やその家族は、行き慣れた内科やクリニックのドクターに医療面の問題を含めた生活面の問題について相談する。地域の社協や事業所がどれだけ熱心に広報活動を行ったとしても、この「行きつけ」のドクターにはかなわない。福祉系のデバイスは知名度が低いということもあるかもしれないが、利用者(患者)というのは、同じドクターに診てもらいたいものである。
 ここで、内科やクリニックのドクターが生活面の問題をカバーできる知識や技術、あるいは社会資源を持ち合わせていれば、支援はスムーズに行くかもしれないが、多くの場合は利用者は、医療面の問題を解消されるだけで、生活面の問題は行き詰まる。そこで、あれこれと調べて行き着く先が、在宅介護支援センターであったり居宅介護支援事業所となる。利用者やその家族がギリギリの状態にならなければ相談に訪れないといった傾向は、このあたりの要因が強いような気がする。

2.複合型のシステムと単独型のシステム
 高齢者の「トータルケア」を行うにあたって、福祉系のデバイスだけでは解決は難しい。必ず医療系のデバイスが必要不可欠となる。介護保険施行以後は、病院や老健を支援のメインシステムとし、これに接続される形で在宅介護支援センターや居宅介護支援事業所が設置されている福祉系デバイスが多くなったが、在宅ケアをメインシステムとする単独型のデバイスもまだまだ多い。どちらが利用者にとって使いやすいシステムかというと、前者の保健・医療・福祉の複合体だと私は思う。なぜなら、複合体のシステムは、問題の発生→入院→リハビリテーション→在宅復帰という一連の流れが、ひとつの場所で完結するからである。
 一方、単独型のシステムは、あくまでも利用者の自宅を中心とした在宅ケアしか方法論が見いだせない。あれやこれやと社会資源を利用者に接続し、支給限度額内に納めるというのが今日のケアマネジメントのようだが、これはケア(サービス)をマネジメントしているだけではなく、各々のデバイス(在宅サービスを行っているそれぞれの事業所)をマネジメントしていることにもなる。「ネットワークで利用者にサービスをつなぐ」という話はわかるが、サービスを提供しているデバイス同士の連携が図られているかというと、そうでもない。利用者の情報はケアマネージャーに一極集中し、それぞれのデバイスには介護記録という形でしか情報が残らない。当然、情報の認知の食い違いも起きてくる。
 つまり、コンピューターのオペレーション・システムにたとえると、利用者という名のシステムが接続されると、複合型のシステムはデバイスマネージャーが働き、自動的にデバイスドライバがインストールされるが、単独型のシステムは、第三者によってデバイスドライバを手動でインストールしなければならない。

3.単独型システムの可能性
 私は単独型のシステムは複合型のシステムよりも劣るということを言いたいわけでない。単独型のシステムを効率よく作動させるためには、「生活マネジメント」という視点が必要であり、この座標軸の中心を社会福祉士と呼ばれる人たちが担い、業務を独占的にしても良いのではないかと思っている。なぜなら、社会福祉士はさまざまな利用者に対応できるデバイスドライバを兼ね備え、医療や介護のシステムだけではなく、法的なシステム(成年後見や権利擁護)や社会的なシステム(情報の分析や調査)を作動させることができるだけの能力があるはずだからである。
 特に、これは高齢者だけではなく、障害者や児童の支援において効力を発揮する。なぜなら、医療のコンセプトは問題を取り除く(治療する)ことが中心だが、生活のコンセプトは問題とともにどのように生きていくか(自立支援)を創造することである。
 現在、議論されている地域包括支援センターが、これまでの医療モデルをさらに増幅させていくのか、あるいは生活モデルへの転換を狙うのか、その両方を兼ね備えることになるのか、私には見えてこないが、生活をマネジメントする仕事場になってほしいと思う。
 いずれにせよ、単独型は単独型で、複合体にはできないコマゴマとした支援を編成させることで、地域密着型のデバイスとして機能させることができるのではないだろうか。

4.ICFと社会福祉士
 最後に、私的には生活マネジメントをするにあたって、平成13年に厚生労働省が導入したWHOのICF(国際生活機能分類)をケアの現場にいち早く取り入れ、標準ケアプランとなる可能性が出てきた点について触れておきたい。
 ICFについては、http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html にあるようにまだまだ検討段階のようだが、日総研から出ている『高齢者のトータルケアと生活マネジメント』(若松利昭・後藤真澄)を読むかぎりでは、在宅介護支援センターのソーシャルワーカーこそ、この方法を取り入れれば、介護予防、身体障害、認知障害に至るまで、ほとんどの問題をカバーできるテキストとなっているように思えた。ちなみに、『ICFに基づく介護概論』(丹羽国子・山田薙夏)も読んでみたが、範囲が広すぎてちょっとこちらは先を行きすぎのような感じが残った。
 社会福祉士も今後、ICFの理論を学んで、グローバルスタンダードな援助職となることを期待したい。(終)

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