「介護問題」発見の手引き

地域に潜在する「介護にかかわる、家族・親族の問題」は、地域の皆様が意識してその発見に取り組まなければ、決して表面化することはありません。
又、発見出来たとしても、ご近所にはなかなか心を開かれないものです。
この問題の解決に、在宅介護支援センター・ソーシャルワー カーという職種が、最も適していると考えます。

在宅介護支援センター・ソーシャルワーカーの地域とのかかわり方等については、『高岡発・介護問題研究会議』設立の趣意 や 在宅介護支援センターが介護保険実施後も在宅介護支援センターである為に で、 私自身がソーシャルワーカーとして実践してきた「活動のまとめ」として記述していますので、ご参照願います。

このコーナーでは、上記考え方に賛同いただけた方々との情報交換や、質問等に対する内容を、系統立ててまとめてみました。

(1) 地区社協の役割

地区社協の構成メンバーを皆様はどのように考えておられますか?
私は、福祉の 心(善意)をお持ちの方全て、社協組織のメンバーと考えています。
組織的には、自治会、民生委員、老人クラブ、婦人会、そしてボランティアグループ等など。
地区には色々な組織が存在しています。
地区社協は、それらの全組織・地域の全住民がそのメンバーだと言っても過言ではないでしょう。
福祉目的で地域におけるコミュニティー作りのまとめ役を出来るのは、社協をおいて他にはありません。
構成メンバー はその目的に向かって、協力は惜しまないでしょう。

小地域福祉ネットワークに関して次のような記述を見つけました。

個人の価値観が多様化した今日、自分以外のことには無関心になり「隣は 何をする人ぞ」といった意識を持った人も増えてきました。
しかし高齢化社会では町内に、一人暮らしの高齢者だけではなく、寝たきり、痴呆といったケースを抱えた家族や障害者が完全に孤立してしまっては、『安心して暮らせるまち』は望めません。
そこで住民同士が見守り支えあう『小地域福祉ネットワーク活動』が生まれたのです。
昔から言われている『向こう三軒両隣』の意識に似ていますが、社会が多 様化している現在これと同じものは不可能です。
 しかし、地区社協や町内会等の組織を生かして、新しい地域福祉システムが作られたことにより、本当の安心して暮らせるまちになるのではないでしょうか。

小地域福祉ネットワークでの取り組みには、見守り声かけ運動・配食サービス・ふれあい会食会・お風呂屋さんでのふれあい活動等など、その地区や町内に合った活動を実践しておられます。
市町村社協は、地区社協に対して、その方向性を指導していく責任があると考えます。
仲良しクラブ的に運営されているものも中には あると思います。
又、幅広く地域の皆様の協力を得て運営されているものもあるでしょう。
これらの活動の集大成が地域における福祉コミュニティーと言われるものだと思います。
そしてコミュニティーは浸透度によって目に見えるようになる、とも考えます。

(2) 在宅介護支援センターの役割

全国で1万箇所(中学校区に1箇所)計画された在宅介護支援センターには運営協議会を組織して、地域の代表に参加いただく事になっています。
形式ではなく、地域と密着した活動が望まれていました。ここまでは、地区社協とよく似た構成メンバーです。

しかし、支援センターの対象は、要介護者・要支援者個人です。 
ケアマネジメント機関として、対象者を発見する為の地域活動です。
医療・保健・福祉 の情報ネットワークも、ケアマネジメントに必要な社会資源作りの一環と考えます。

私がソーシャルワーカーとして地域に張ったネットワークは、各町内の民生委員さんでした。
相談協力員の人選に関して、市民生総務会長に相談したところ、高齢福祉課から民生総務会に議案として提出するように助言をいただき、結果として、各校下総務・副総務に相談協力員として協力頂く、市の統一見解が出されました。
待つ福祉から発見する福祉への第一歩でした。

当時、民生委員は社協との関係からか、社会福祉課とのつながりが強く、「在宅介護支援センター」を名乗って訪問したとき、「確かに高齢福祉課から出ている文書だが・・・」と不思議がられた事もありました。
縦割りの行政を横への広がりを持たせる役割も支援センターは持っております。積極的に社協組織と連携していくことが必要と考えます。

(3) 市社会福祉協議会に基幹型在宅介護支援センター設置

市社協に基幹型センターが設置されたとの情報を頂きました。
基幹型センターは市内の各在宅介護支援センターに、地区社協と一緒に介護予防事業として、ミニ ディサービスへの取り組みを指示したとの事でした。

私は、『素晴らしい地域活動』と感じました。
計画段階から地域やボランティアの皆様と協働出来ること、支援センターの目的等を知っていただく格好の機会であること、地域に潜在する介護ニーズに対する取り組みへの協力依頼の機会等など。
地域ネットワークを形成する為必要な条件が全て整います。
支援センター側から見れば、又とない機会です。
しかし、介護予防と捉えればただの介護予防事業です。

私は、社協の地域活動と支援センターの地域活動を結び付けてしまいました。
ミニディサービスでもふれあい会食会でも見守りネットワークでも良いと考えます。
ただ、地域で計画する事業に在宅介護支援センターとして協働していくことが「素晴らしい」ことだと考えます。
しかし、ソーシャルワーカーがその重要性を感じていなければ、「上から押し付けられた面倒な事業」でしかないでしょう。

次に紹介するメールを頂きました。障害者の立場からです。
 『社会福祉協議会と在宅介護支援センターが一緒になって、地区のコミュニティー作りに動き出されたこと』はとても良い取り組みだと思います。地域の老人福祉の発展が牽引役となって、児童・障害者・家庭・地域など、その他の福祉も発展していってほしいと思います。

現在、老人福祉は介護保険導入等により、拡大を続けている分野です。
その他の福祉関係者の参加を求めて、協働して行く程の寛容さがあっても良いのではないでしょうか?

(4) 基幹型在宅介護支援センターについて

2001・7・17 介護保険導入から一年余月、厚生労働省は介護支援専門員の助言・指導役となる「ケアマネジメントリーダー」を都道府県単位で養成する新事業を具体化する準備に入っています。
ケアマネジャーの資質や地域格差を改善、全体の質の向上を図るのが狙いです。
との内容の報道がありました。ホームページには次のようにコメントしました。

<地域ケア会議〜基幹センター〜ケアマネジャー、といった縦割りの指導方式が採られる事から、ケアマネジメント技術の向上を主眼とした、行政指導組織になるものと思われます。
自治体の要とも云える基幹型在宅介護支援センターのリーダー養成役でもありますので、地域ネットワーク作りのご指導も併せてお願いしたいものです。>

県のリーダーの指導を受けた「ケアマネジメントリーダー」が基幹型センターに配属されます。
しかし、地域ネットワーク作りについては、その方向性を支援センターに指導する事と、市町村社協への根回しに留まるでしょう。
何故ならば、地域に根差した地域活動を実践できる範囲は、中学校区(全国1万箇所)に一ヵ所の在宅介護支援センターの担当区域が限度と考えるからです。
そして、活動の本質は、指導される性質のものではありません。
参加者の「善意の心から生ずるもの」と考えます。

(5) 地域における福祉コミュニティー作りの主役は誰か

社会福祉協議会を地域福祉の中核としての役割と明確化(社会福祉法改正)、在宅介護支援センター、特に基幹型在宅介護支援センターの指導の役割等を明確化(国の通知等)して、体制作りが進んでいます。

社協と基幹型センターが協働して、地域の福祉コミュニティー作りが始まるのも、そう先の事ではないでしょう。
しかし、現在の在宅介護支援センターは、介護保険給付管理に追われ、地域活動どころでない状態と聞いております。
正直な ソーシャルワーカーさんは「ケアマネジメントしか、していません」と答えてくれました。
それが現実なのです。
前述しましたが、地域に根差した地域活動を実践できる範囲は、一箇所の在宅介護支援センターで一中学校区が限度と考えます。
一方、地区社協は大体、小学校区単位に組織されています。
専従者はいないと考えた方 が良いと思います。
地域の皆様のボランティアが活動力になってきます。

社協のピラミッド型組織力と基幹型センターの指導力の基、自治会組織にまで活動が浸透するように、実際に地域活動を実践するのは、やはり、在宅介護支援センターしかありませんね。

(6) 施設ボランティアの皆様へ

施設ボランティアとして、地区有志の方や、民生委員の皆様が、定期的に施設ボランティア活動を実施しておられる例が、かなりあるのではないかと思います。

私は、地域の皆様のボランティア活動は、地域活動の練習みたいなもの、と考えています。

しかし、受け入れの施設側は、労力提供と受け取っているのではないでしょうか。

施設で実践を積み、介護に慣れられたら、地域の為に生かして頂きたいと思っています。そして、地域の福祉コミュニティー形成の原動力になって頂きたいと考えています。

(7) 施設経営者・管理者の皆様へ

在宅介護支援センター設置の経営管理者の皆様は、地域の重要な取り組みをご理解のうえ、支援センター職員の活動にご協力をお願い致します。
結果として、ケアマネジメントは増えます。

又、ボランティアの皆様を「労力提供」扱いしないで下さい。
ボランティア活動は、突詰めれば、参加者個々人の、自分自身の為の活動 です。

(8) 保健訪問指導担当の保健婦さん・訪問看護ステーションの看護婦さん。そして、地域サービスに従事されている方々へ

「介護問題」等の情報は、地域担当の在宅介護支援センターへ集まる様に、御配慮お願い致します。

以上、見てきました様に、在宅介護支援センター・ソーシャルワーカーは、縦割りの組織間を、自由に横へのネットワークを拡大して行ける職種です。
この行動力が、将来の福祉構造を変える原動力になることを期待しております。
社会福祉課と高齢福祉課の間に、衝立で区切りがしてありました。ちょうど、その衝立を取り 払うように・・・・・。

(参考)
 在宅介護支援センターの地域活動の根拠になっている法令を参照いたします。法の上では、老人介護支援センターになっています。

老人福祉法(抜粋)

 第五条の三 この法律において、「老人福祉施設」とは、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター及び老人介護支援センターをいう。

 第六条の二 市町村は、第五条の四第二項第二号に規定する情報の提供並びに相談及び指導のうち、介護保険法に規定する居宅サービス、居宅介護支援及び施設サービスの適切かつ有効な利用に係るものその他の主として居宅において介護を受ける老人及びその者を現に養護する者に係るものであつて特に専門的知識及び技術を必要とするものについては、当該市町村の設置する老人介護支援センターその他の厚生労働省令で定める施設の職員に行わせ、又はこれを当該市町村以外の者の設置するこれらの施設に委託することができる。

 第十八条 都道府県知事は、老人の福祉のために必要があると認めるときは、老人居宅生活支援事業を行う者又は老人デイサービスセンター、老人短期入所施設若しくは老人介護支援センターの設置者に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所若しくは施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

 第十八条の二 都道府県知事は、老人居宅生活支援事業を行う者又は老人デイサービスセンター、老人短期入所施設若しくは老人介護支援センターの設置者が、この法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくは第五条の二第二項から第五項まで、第二十条の二の二若しくは第二十条の三に規定する者の処遇につき不当な行為をしたときは、当該事業を行う者又は当該施設の設置者に対して、その事業の制限又は停止を命ずることができる。
 2 都道府県知事は、前項の規定により、老人居宅生活支援事業又は老人 デイサービスセンター、老人短期入所施設若しくは老人介護支援センターにつき、その事業の制限又は停止を命ずる場合には、あらかじめ、社会福祉法第七条第一項に規定する地方社会福祉審議会の意見を聴かなければならない。
(平二法五八・追加・一部改正、平五法八九・平六法五六・平九法一二四・平一一法八七・平一二法一一一・平一一法一六〇(平一二法一一一)・一部改正)

 (老人介護支援センター)
第二十条の七の二 老人介護支援センターは、第六条の二に規定する情報の提供並びに相談及び指導、主として居宅において介護を受ける老人又はその者を現に養護する者と市町村、老人居宅生活支援事業を行う者、老人福祉施設、医療施設、老人クラブその他老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者等との連絡調整その他の厚生労働省令で定める援助を総合的に行うことを目的とする施設とする。
(平六法五六・追加、平九法一二四・平一一法一六〇・一部改正)

この第二十条の七の二 の中に、医療・保健・福祉の連携(施設間・地域)。地域ネットワーク(町内のパイプ役に私は民生委員さんを選びました)の考え方が表されています。
行政担当者には、異動がありますので、勉強 された頃に変わって行かれます。
出来れば、後に続く異動が望ましいと思いますが・ ・・・・。
だからこそ、在宅介護支援センター職員は、法の精神を心に、業務に取り組まなければならないという事になります。

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