レポートNO9「地域包括支援センター(仮称)を占う」

2005年法改正に向けて「地域包括支援センター」(仮称)構想が浮かび上がっています。目新しい内容ではないのですが、何故か全く新しい制度が誕生するかのように騒がれています。
その真意に迫ってみたいと思います。

法や制度は出来上がっていると度々申し上げてきました。手元に「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」と「いきいき健康プラン21」があります。この3つの計画を地域において一つの機関で実施できるように再編成されたのが「地域包括支援センター」(仮称)だと思います。

昨年作成された保健福祉計画の中に「地域ケア推進体制図」が描かれていますが、ちょうど10年前、私が在宅介護支援センターソーシャルワーカーとして地域に出た時に同じネットワーク図を目にしました。このネットワークを作るのは在宅介護支援センター(地域型)であり、担当課(基幹型在宅介護支援センター)・厚生センター・保健センターと連携・支援を受けながら行っていくこととされています。机上の情報交換会ではなく、地域でその機能を発揮していくことが重要かと思います。(ネットワーク構成員:自治会・老人会・民生委員・交番・ボランテイア・健康づくり推進員・新聞配達・郵便局・社会福祉協議会・保健センター地区担当・近隣・商店・高齢福祉推進員)
そしてひとり暮らし・要援護高齢者の相談・支援を行っていくことになっています。

一方、介護保険計画には居宅サービスや施設サービスの整備などが盛り込まれ、介護支援専門員がケアマネジメントを行うことになります。

この二つの計画が1冊の冊子にまとめられていることが重要であり、「双方が十分に連携を図りつつ整合性を保つものとしていくことが必要であるとの考え方から・・・一体的な取り組みに配慮してきたところであります。」とされています。

それでは何故一つのものとして機能しなかったのでしょうか?

私が過去の実践をHPで紹介するに至った理由もそうでありますが、その機能しなかった理由が今回の法改正案の中に盛り込まれていると思います。

地域包括支援センター(仮称)に配置する職員は社会福祉士・保健士・主任介護支援専門員(スーパーバイザー的ケアマネジャー)とされていますが、社会福祉士には大橋謙作氏が言われる「ケアマネジメントを手段として活用したコミュニティーソーシャルワークが必要」ということだと思いますし、保健士には保健センターの地域での活動がスライドされるものと思います。また、スーパーバイザーケアマネは身をもって困難事例を解決できるケアマネジャーが求められるものと思います。

多くの「在宅介護支援センターが在宅介護支援センターでなかった」ために。多くの「介護支援専門員が本来の役割を忘れ「囲い込み機関」の役割を果たした」ために。大掛かりな組織再編になりましたが、今回こそは「その轍を踏まぬ」意識を関係者一同に持っていただきたいものだと思います。

在宅介護支援センターという組織が消えることになっても、在宅介護支援センターは素晴らしい機関です。その素晴らしい在宅介護支援センターの持つ機能を再編された地域包括支援センター(仮称)に引き継いでいただきたいものだと思います。

主任介護支援専門員は新制度の中で教育されれば良いと思いますが、コミュニティーソーシャルワークが出来る社会福祉士の人材に関して一抹の不安も残ります。過去に在宅介護支援センターとして地域活動に力を入れていたセンターはそう多くはないと思います。事業所の方針に失望して第一線を去った優秀なソーシャルワーカーも地域に埋もれていることだと思いますし、市町村単位で人材の発掘にご努力いただきたいものだとも思います。

最後になりますが、地域包括支援センター(仮称)には、ブランチ(行政の横だし)機能が明記されています。先にご紹介したボランチ型在宅介護支援センターは、「介護問題」を発見できる地域づくりを、ケースを通じて地域や機関に働きかけるセンターですので、このブランチに通じるものがあるのではないかと思っています。

「在宅介護支援センター」の名前を残すことができることを夢見ながら、本年の筆収めとしたいと思います。



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