レポートNO6  介護支援専門員基本テキストの正確でない記述
   要介護認定調査

介護支援専門員基本テキスト(2003年5月発行)の「要介護認定調査」に関する記述で、どうしても理解出来ない内容がありました。

介護支援専門員テキスト編集委員会編集になっていますが、その所在がわからないため、発行者の
(財)長寿社会開発センター 出版事業部宛にメールで問い合わせをしました。
以下、出版事業部担当者の方とのメール・郵便・FAX交信の内容をご紹介いたします。

(ここから)
(質問)
基本テキスト第2巻P49〜50の第4節 居宅介護支援の開始 の中の中段から引用します。
『なお、相談者が介護保険給付サービスや居宅介護支援を利用することを決意すれば、保険者から要介護認定の調査委託を受けている場合は、介護支援専門員は保険者に要介護認定調査を開始する旨の連絡を取って認定調査を実施し、その結果を保険者に報告することになります。

認定調査の委託を受けていない場合には、介護支援専門員が保険者に連絡することで認定調査を実施してくれるよう代理で申請することができることになります。』

これは介護支援専門員が対象者を発見した場合や居宅介護支援事業所に相談に来られた時の対応に関しての説明ですが、これでよろしいのか、執筆された方にご確認いただきたいと思います。

認定調査の実施方法としては、誤解を招き、また、不適切な流れと感じましたので、よろしくお願い致します。

(回答)
先日お尋ねの件について
記述は、「誤解を招き、また、不適切な流れ」とのご指摘ですが、どの部分が誤解を招き、また、不適切な流れであるか理解できません。

介護保険法第27条に、要介護認定について規定されていますが、記述内容等に特に問題はありません。


(再質問)
ご回答ありがとうございました。
介護保険法第27条では、
1 ・・・指定居宅介護支援事業等に、当該申請に関する手続きを代わって行わせることができる。
2 市町村は、前項の申請があったときは・・・・・・調査をさせるものとする。この場合において・・・・指定居宅介護支援事業所等に委託することができる。

となっています。
この申請代行と、認定調査(1項と2項)の間には、市町村が申請を受理する業務とその申請に対する認定調査実施という二つの業務があります。
ご質問した記述は

・・介護支援専門員は保険者に要介護認定調査を開始する旨の連絡を取って認定調査を実施し、・・・

です。

申請代行業務と認定調査業務(受諾)明らかに別の業務なのに、テキストでは、一つの流れとして述べておられます。
たとえ、インテーク面接をした方が、その何れもできる方だとしても、流れの中で、市町村を飛ばして(電話連絡ぐらいはしておられる想定だとは思いますが)認定業務を行うのは適切な方法なのでしょうか?

同記述の前提は、対象者を「発見又は来所」です。
在宅介護支援センターが一番多くその機会に接するのではないでしょうか?

私が何を危惧しているのか、もうお気づきと思いますが、現実問題として、介護認定調査用紙を委託先に事前に配っておられる市町村も多いと聞いております。

認定調査が公正・中立の立場で行われる事を望んでいる一人ですが、その意味でも、重大な内容を含んだ文章であると感じました。

(回答)
テキストでは詳細な事務の流れは記述していませんが、市町村(保険者)は指定居宅介護支援事業者等に認定調査を委託する場合、「認定調査委託契約」を締結した上で、認定調査を依頼することとなります。

委託している指定居宅介護支援事業者等の介護支援専門員から要介護認定調査開始(実施)する旨の連絡を受けた市町村(保険者)は「要介護認定調査依頼書」を作成の上、受諾者へ送付し、受諾者はその依頼書に基づき実施することとなっていますので、市町村を飛ばして認定調査を行うということはないと思います。


(返信)
ご回答ありがとうございました。

「これは介護支援専門員が対象者を発見した場合や居宅介護支援事業所に相談に来られた時の対応に関しての説明ですが、これでよろしいのか、執筆された方にご確認いただきたいと思います。」
という主旨の質問をさせていただいた訳ですが、
ご回答を拝見する限りでは、先にご指摘しました部分の記述は、「正確ではない。基本テキストの記述のように連絡をした上で調査になることはない。」と理解させていただいてよろしいのでしょうか。

もしこの解釈でよろしいのでしたら、今後の問題として、来年度からの基本テキストには、今回教えていただいた正確な内容が、受験生の皆様に正しく理解されるように、ご配慮をお願い致します。

それと、この記述に関して、混乱がおきても困ると思い、私が福祉系の掲示板で、一番信頼している(その他にもあるのですが)緑風園掲示板(過去ログ「介護支援専門員基本テキスト記載内容の疑問」)
http://www.ryokufuu.com/backnumber/text.htm
に投げかけてみました、またメールでも実態を教えていただきました。

その中から、もしかして、この記述をそのまま実行しておられるのではないかと思わざるを得ない、例えば、H市やT市では、事前に要介護認定調査用紙を委託先に配布されているということです。
「要介護認定調査依頼書」の作成を省略しておられるということですね。(書類上のつじつまは合っているのでしょうが)

そこで、この件に関して、私のHP『高岡発介護問題研究会議』
http://www1.tcnet.ne.jp/kaigoken/
の中で、「レポートNO6」になりますが、
今回の(財)長寿社会開発センター 出版事業部様への問い合わせ内容やご回答。
そして掲示板やメールの内容をレポートにまとめた上で、1000字メールで厚生労働省への提言としたいと思いますが、いかがなものでしょうか?

なお、レポートNO1「介護保険法スタート時点での間違い」
http://www1.tcnet.ne.jp/kaigoken/newpage2repo-tono1.htm
を、同様な形で提言させていただきました。

その成果かどうかはわかりませんが、今年度から高岡市(富山市もですが)で、「コーディネーター制度」(在宅介護支援センターの地域活動)が予算化されました。
在宅介護支援センターの本来の姿(地域活動を内包したケアマネジメント機関)に一歩づつですが、近づいていただけるのではないかと期待しています。

以上、余談もはいりましたが、今回はどうもありがとうございました。

(ここまで)

なお、最後の返信に関しては、1週間ご回答がなかったので、内容をご了解いただけたものと判断いたしました。
そして、上記文章を2003年7月30日、厚生労働省宛に、5回に分けて1000字メールで提言いたしましたことをご報告いたします。

その書き出しは次の通りです。

(ここから)
ホームページ『高岡発・介護問題研究会議』で在宅介護支援センターの地域活動の重要性を中心に、全国に向けて提言を重ねています。
今年度、介護支援専門員実務研修受講試験に向けて、準備をしています。
元在宅介護支援センターソーシャルワーカーです。

受験準備中、(財)長寿社会開発センター 出版事業部発行の「介護支援専門員 基本テキスト」の内容に理解に苦しむ記述がありましたので、下記(参照)のとおり照会しましたところ、
「正確ではない。基本テキストの記述のように連絡をした上で調査になることはない。」と解釈できるご回答をいただきました。

また、この記述が原因かどうかは定かではありませんが、実態として、要介護認定実施の方法が、相応しくない市町村があるということがわかりました。

介護保険の実施・運用等については 各保険者の裁量により決定すべき事柄であることは充分理解していますが、私のつかんだだけでも、法に正確でない運用が為されている事実がありました。

公的資源の一つである介護保険サービスと利用者が直接結びつく入り口『介護保険の公正・公平な運用の原点』の問題とも考えますので、法に準じた「正確な」運用が為されるように、趣旨ご理解の上、適切な解決をお願い致します。

(参照)・・・最初に戻る。


2004・2・3

社会福祉法人 全国社会福祉協議会 出版部気付
松尾 武昌 様 宛
はじめまして 二上 浩 @介護問題研究会議です。

今回、貴社発行の「新・居宅サービス計画ガイドライン」を買い求めましたが、1箇所、正確でないと思われる記述がありましたのでご連絡いたします。

49ページ16行目「介護支援専門員が要介護認定調査の委託を受けている場合には、市町村に連絡をし、認定調査を行い、・・・・・・」
となっていますが、認定調査は保険者の業務であり、保険者に連絡しただけで認定調査に入るのは非常に不適切な対応かと思います。

(財)長寿社会開発センター発行の「介護支援専門員基本テキスト(2003年5月発行)」にも同様の記述がありましたので、出版元に問い合わせて、内容をまとめて厚生労働省に提言した経緯があります。
HPで提言内容を公開していますのでご紹介いたします。
http://www1.tcnet.ne.jp/kaigoken/newpage2repo-tono6.htm

介護保険の適正運用が叫ばれる中、認定調査とケアマネジメントの区別をはっきりと付けていく事も重要かと思います。
一昨年公正取引委員会から指摘された「囲い込み」の問題にも全く関係がないとは言えない内容ですので、厚生労働省へ提言した内容ではありますがご連絡いたしました。

白澤教授のケアマネジメント講義は、教授がケースマネジメントと言っておられた頃から受講していますので、今回、貴社の方式を選ばさせていただきました。
以上、ご高配の程、よろしくお願い申し上げます。

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