レポートNO5  移送問題

介護保険がスタートして三年目、介護保険で移送経費(運賃)を賄っていたという大きな問題が表面化しました。
2003・5・8 厚生労働省は都道府県宛に次の通達をしました。
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb05Kaig.nsf/aCategoryList?OpenAgent&CT=20&MT=030&ST=080
です。
この中で、図解で説明していますが、身体介護中心型を算定する場合は<運転時間を除く>とされています。
また、乗降介助が中心の場合はそれぞれ100単位を算定することとされています。
なぜか、通院等と言いながら、図解のケースはいずれも通院です。
移送の必要性は、通院に限ったことではありませんが、通院に限って図解されたということは、通院の移送に大きな問題があったと推測しています。
そして、身体介護報酬を算定するために、前後にこじつけ的に必要のない身体介護がプランとして組み込まれる事も考えられます。

移送(移動)の目的は、生活・健康に密着したものから趣味・娯楽・生きがいに関するもの等など、いろいろあります。
移送を受ける本人の身体状況も、いろいろです。

今問題になっている「移送」は介護保険が絡んだもので、法的に問題があるから「白」の答えが出ないのだと思います。
このままでは永遠に「灰色」なのではないでしょうか?
しかし今回の混乱を教訓に、全ての方に、上記目的の移送が「白」で準備される良い機会だと思います。

緑ナンバーのタクシー、白ナンバーの福祉(ボランテイア)移送、あるいは民間救急というのもありますね。
もちろん有料の移送(サービス)ということです。
(中には100パーセントボランテイアというのも必要とは思いますが・・・)

運賃に介護保険を適用しようとするから問題がおきるのだと思います。
「必要な方に、必要な移送サービス」を受けていただくために、「どうしても必要な」移送にかかる費用に対して措置の考え方(応能負担)が必要になってくるのではないでしょうか?
そして、負担できる方には負担していただきたいと思います。(福祉の考え方です)
また、現在あるのかどうか知りませんが、障害1・2級の方に出ていたタクシー券のなど、移送に関する財源も一つにまとめる必要がありそうですね。(社会福祉課担当だとは思いますが・・・)

余談ですが、縦割り行政に「報連相」が必要だと掲示板で発言された方がおられました。
「ポパイですね、報告・連携・相談と翻訳しましたが」と返信しましたところ、「その通り」とのお答えでした。
報連相を活力源に、市町村の力の見せ所ではないかと思います。

今回の厚生労働省の通知から、移送が無償(算定できない)ということは、介護保険(身体介護)に運賃を肩代わりさせていることになりませんか?(100単位ではやらないという事業所、やってもらえないというケアマネジャーさんの声もあります)
次の介護報酬の見直しでは、身体介護の単価が下がることも懸念されるところです。(運賃をサービスしても採算が取れる身体介護の報酬が出ているのですから・・・)
本当に身体介護が必要な方、頑張っておられるヘルパーさんにも影響が及ぶことになっては大変だと思います。

私は、以前から、「介護と移送は違うよ」と言ってきました。
先日、市へ資料を郵送した時にも、「移送費用(運賃)は措置の考え方で・・・」と添え書きしました。
そして、この論議が議会でおこなわれることを望んでいます。
行政側から、その必要性を感じて、発議される事が望ましいのでしょうが、厚生労働省の通知を見る限りではそれも難しいのかもしれませんね。

話は飛びますが、私がなぜこの問題に固執するかというと、この問題はケアマネジメントの基本だからです。
介護保険だけでマネジメントするからこうなります(他にも原因はあるのですが)。
もし移送という社会資源がなかったら、新しい資源を作るために(法の範囲で)、いろいろ働きかけをするのが、ソーシャルワーカーだと思います。
今回は、一部タクシー会社と儲けに走った一部民間ヘルパー事業所がこの問題を作り上げてしまったと受け止めています(社会福祉法人・NPOも含まれているのかな?)が、新しい社会資源作りを、在宅介護支援センターに望んでいます。

地域の移送を考える

必要なときに、必要な移送サービスを受けられるように、 いろいろな移送形態を準備する必要があると思います。
タクシー会社の介護タクシーの他に、ボランテイア移送、福祉輸送、民間救急など、その目的にあった方法を選べるようになれば良いと思います。

現在道路運送法上「灰色」とされているのは、ホームヘルパーが白ナンバーで移送する方法です。
この問題は意外と簡単に解決しそうです。
道路運送法第80条第1項による申請に対する取り扱いについての中で、
構造改革特別区域法・・・(平成15年1月24日閣議決定)・・・「NPO等によるボランテイア輸送としての有償運送可能化事業」が盛り込まれた・・・。
十分な輸送サービスが確保できないと認められるとともに・・・。

すなわち、地方行政が必要と認めた場合、しかるべき方法で、ボランテイア移送(有償移送)が可能だということだと思います。
社会福祉法人も可能ということですので、ボランテイア移送は大きな社会資源だと思います。

また同条には、運賃についても、ボランテイア移送では、タクシー運賃の半額ぐらいまで白ナンバーのままでいただける(4.有償運送の条件 (6)運送の対価)ということですので、移送を専門としない、社会福祉法人やNPO法人でも運営可能なのではないでしょうか?
(現在は無償で移送しておられるのですから・・・)

参考資料 移送問題

ここで、改めて「介護保険は福祉制度の一部」とお伝えいたします。
介護保険関連事業経営管理者の中には、この事をご理解いただけない方も多数おられると思います。
また、サービスの囲い込み、ケアマネジメントの無視等など、経営管理者の姿勢がそのまま、今回「移送問題」として表面化したものと受け止めています。
そして、厚生労働省の担当官に対しては、『赤信号、皆でわたれば怖くない』を防ぐのは「あなた方ではないですか」と、一市民として一言だけ申し上げたと思います。

運賃についてのまとめです。
緑ナンバー・白ナンバーの移送に関して、国土交通省・消防庁・厚生労働省の各省庁連携で、適正な運賃を設定して下さい。(ボランテイア移送は、厚生労働省の分野だと思います)


次に、利用目的別に、移送方法について考えてみたいと思います。

*生活・健康に密着したもの
通院や公的手続き等などが必要な場合の移送です。

今回の「移送問題」の中心的課題は通院だったのではないでしょうか。
加齢・身体の不自由により、行動範囲が狭くなるのは当然の事と考えます。
医療の地域ネットワーク、開業医・往診医と総合病院の連携が必要かと思います。
また、在宅医療で対応できない方に対しては、医療機関で通院の足を考えていただくのも、一つの方法ではないかと考えます。

また、人が集まる所にコミュニティーバスが運行路線を持つことも必要なことと思います。
先日友人から「オンデマンド移送」という言葉を教えていただきました。
富山市で路線バスが、「例えば団地のバス停から迎えを頼むと、近くを走行中のバスが迎えに行く方式」が最近始まりました。
このことかな、と思っていますが、必要なら確かめますが、有効な方法だと思います。

上記のような交通手段がない時は、タクシーやボランテイア移送が必要になってくると思います。
ボランテイア移送用車両については、第80条第1項(4、有償運送の条件(3)使用車両)で「車いす若しくはストレッチャーのためのリフト、スロープ、寝台等の特殊な設備を設けた自動車、又は回転シート、リフトアップシート等の乗降を容易にするための装置を設けた自動車であること」と規定されています。


*個人の趣味・娯楽・生きがい等に関するもの
原則的に、ボランテイア移送の対象ではないと考えます。
タクシーを利用していただき目的を果たしていただきたいと思います。

ただし、「ひきこもり対策」「介護予防」など、社会的責任に関する移送は、内容はともかくとして(と言ったら悪用されるのでしょうか?)ボランテイア移送の対象と考えます。
例えば保健センターのリハビリ教室等に、循環型の福祉バスを提供していただくのも一つの方法かと思います。

もう一つの移送について、私が特別養護老人ホーム生活指導員の時の取り組みから紹介します。
「ふれあいの日」最後まで仮称でしたが、「担当寮母が、日々、入所者とのふれあいの中からつかんだ希望などをかなえる1日」というのを実践していました。
人生最後の希望(耳にしながら、全て実行できた訳ではありませんが・・・)をかなえるための移送には、全て社会的責任という訳にはいかないと思います。
「ふれあいの日」の地域版。
担当寮母が担当ホームヘルパーに変わっただけ・・・の外出支援が出来るようになればよいと思います。
この場合、ヘルパーさんも運転手さんも車両もボランテイアで調達する必要があると考えます。
強要する訳ではありませんが、あるタクシー会社の方から「休日等、タクシーが遊んでいる時に、車両をボランテイア提供する事も考えている」と胸のうちを語っていただきました。
と言う意味での、100パーセントのボランテイアも必要かと思います。


ここでボランテイア移送の負担の問題が出てきます。

「必要な方に、必要なサービスを」という意味で、移送手段について考えてきました。
負担に関しては「負担できる方にはご負担いただき、負担出来ない方には措置(応能負担)の考え方」が出来ないものかとも申し上げました。
また、障害者に対する移送補助制度(社会福祉課担当)もあります。
これらの財源を一つにして、移送問題の解決にむけて、(その他、福祉全般に関しても)社会福祉課・高齢介護福祉課が一つになって取り組んでいただきたいと思っています。
「報連相」です。


以上、移送をテーマに、地域の連携、行政・保健・医療・福祉の連携について書き綴ってみました。
元在宅介護支援センターソーシャルワーカーの感じた移送に関する問題点を、ソーシャルワーカーの役割の一つ「社会資源の創設」という観点からの捉え方です。
幸いと申しますか高岡市では、本来在宅介護支援センターが内包している機能「在宅介護支援センターの地域活動」が4月から新事業としてスタートしました。
(参照)介護研ニュース新事業特集
その事業と、時を同じくして発生した「移送問題」。
行政・ボランテイア・輸送事業者・保健・医療・福祉関係者(介護保険=福祉の一部と思っていますが)の皆様がかかわる必要のある事業だと思います。

移送問題をきっかけに「素晴らしい地域の連携」が出来れば良いと思っています。



2004・3・17
この度、国土交通省から法的取り扱いについて中間整理案が出ましたのでご紹介いたします。
介護輸送に係る法的取り扱いについて
介護輸送に係る法的取扱いに対する意見の募集について
「介護輸送に係る法的取扱いについて」に関する意見募集
「介護輸送に係る法的取扱いについて」に寄せられた御意見と当省の考え方
ご参照下さい。

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