レポートNO3
「ケアマネジャーとソーシャルワーカーの業務の境界は?」

 「研究会議NO4」公開中に、表題の質問メールを頂きました。
 ソーシャルワーカーは、在宅介護支援センター所属のソーシャルワーカーであり、ケアマネジャーは、介護保険制度におけるケアマネジャーです。

 介護保険制度は、介護費用を負担する制度が変更されたものであり、保健・医療・福祉の役割は本質的には変わっていません。
 又、介護保険制度では介護支援専門員(ケアマネジャー)が、介護支援サービス(ケアマネジメント)と介護保険給付管理を担当する事になりました。
 しかし、在宅介護支援センターの機能は、基本的には変わっていないと理解しております。

(参照)在宅介護支援センターが介護保険実施後も在宅介護支援センターである為に
 2000年1月、介護保険法が施行される少し前にまとめた原稿です。

 ここで、在宅介護支援センター・ソーシャルワーカーとケアマネジャーの業務の違いをより明確にする為に、介護保険法施行前の在宅介護支援センター職員配置に次の仮説を立てて話を進めてみたいと思います。

(仮説)
 在宅介護支援センター・ソーシャルワーカー(又は保健婦)には、ケアマネジャー資格が無いと想定いたします。
 もう一人の職員、看護婦(又は介護福祉士)はケアマネジャー有資格者です。
 果たして、この在宅介護支援センターは、介護保険下で、在宅介護支援センター本来の業務が出来るのでしょうか?

一、実践業務の内容からの分類

レポートNO2「地域における連携」で、ディサービス・特養ホーム・在宅介護支援センターでの実践をご紹介しました。
 「四、在宅介護支援センターで」の中から、ケアマネジャーとソーシャルワーカーの業務と思われるものを分類してみたいと思います。

◎ケアマネジャーの仕事

 24〜38の実践記録が、ケアマネジメント業務と考えます。
 民生委員さんと連携の下、多くのケースに携って来ました。
 又、老人保健施設の相談員や医師との相談、保健所保健婦との同行訪問もありました。
 社協ヘルパーの担当ケースへの介入や家族会議には市担当者や民生委員の同行も求めました。
 保健センター保健婦との同行訪問(訪問指導の名で)や、ねたきり申請者の個別な情報交換、そして「来て、来て、すぐ来て」と電話を戴いたこともありました。

 市医師会訪問看護ステーションや市民病院からのサービス調整の依頼。
 病院PTからの情報。
 ショートスティ利用に関して、開業医・老健施設との連絡調整。等など。
 又、利用者家族からのご意見を担当課に伝え、改善して頂いたことや、担当課からの依頼でサービス調整に出かけたことも数多くありました。

 考えられる連携の組み合わせについては、一通り体験してきたのではないでしょうか?
 ケースの内容によっては、連携の方法とメンバーは変わってくると思います。
 又、最適であったかどうかは判りませんが、多くのケースに関わってきました。

◎ ソーシャルワーカーの仕事

 21 民生委員担当町内別の地図 (必要性を感じて)
 22 「ねたきり・痴呆申請者」の実態調査(行政の依頼)
 23 担当地区の、サービス利用者一覧表の作成(行政の依頼と地元民協へ情報提供)
 以上については、在宅介護支援センターに実施して頂きたい仕事ですので、ケアマネジャーの仕事とは区別いたしました。
 必要な場合は、在宅介護支援センターから資料を提供して頂けると思います。

 介護保険下では、保険者である行政担当課が、サービス利用者や入所待機者の実態を充分把握出来ていない様子です。
 在宅介護支援センターとして、担当地域のサービス利用者と現状を一覧できる資料を、是非作成して頂きたいと思います。

 そして、ケアマネジメント機関ですから、当然、ケアマネジャーの業務もプラスされます。
 しかし、介護保険の給付管理は出来ません。

二 在宅介護支援センターの本来の仕事と介護保険

 私のソーシャルワーカーとしての仕事は、在宅介護支援センター機能が、「地域活動を内包したケアマネジメント機関」との認識の上に立っています。
 その本来の仕事を、介護保険制度も考慮に入れて、整理してみたいと思います。(各サービス機関に、ケアマネジャーが配属されているものと想定します)

1 ケアマネジメント
比較的簡単なケース

 サービスを受給する事が目的のケースについては、ニーズの把握・アセスメントの上、中心となるサービス機関のケアマネジャーに、申し送りすればよいと考えます。
 この時に注意しなくてはいけない事は、所属法人のサービスにこだわる事なく、地域に複数のサービスが存在した場合、利用者にサービス機関の選択をして頂く事です。
 又、通所・訪問サービスで、サービス地域がエリア分けされている場合等、選択肢が無い場合には、所属法人のサービス機関に申し送りしたとしても、囲い込みには当たらないと考えます。(地域に選択出来るサービスが出来る事を望みます)

複数のサービスやフォーマル・インフォーマルサービスの組み合わせが必要なケース

 ひとり暮らしや老々介護、重度のケース等々、「生活の中での介護相談」が必要になってきます。
 介護保険以外の問題を解決したあと、ケースバイケースですが、中心となるサービス機関のケアマネジャーに申し送りする事が望ましいと考えます。
 又、ケースによっては、在宅介護支援センターで担当する必要も出て来ます。

 サービス機関に申し送った場合でも、定期的に、支援センターとしての見守りが必要になって来ますので、サービス機関との充分な連携が必要です。
 尚、在宅介護支援センターは、常時、医療・福祉(保健・福祉)の連携の基で運営されている機関です。

 支援センターで担当する場合は、所属のケアマネジャーが、介護保険給付管理する事になります。

「介護問題」等のケース

 『貴方の地域に、訴えも無く、ひっそりと社会から孤立して生活しておられる要支援者・要介護者がおいでになりませんか? その様な方々に、人の心を伝える為にあなたのお力をお貸し下さい。』
 HP『高岡発・介護問題研究会議』の書き出しの部分です。

 介護問題は、地域(町内)との連携から発見されます。私は、民生委員を町内の窓口にお願いしていました。
 町内の中では、向こう三軒両隣や隣保班の情報が民生委員(自治会役員)に集まるコミュニティーが必要です。そして、在宅介護支援センターとして、積極的に地域との連携を心がけて行く必要があります。

 ほとんどが困難なケースです。在宅介護支援センターの担当するケースです。
 関係機関との充分な連携が必要となってきます。
 介護保険給付管理は、支援センター所属ケアマネジャーが担当します。

2 ソーシャルワーカー(又は保健婦)の仕事
 「在宅介護支援センターが介護保険実施後も在宅介護支援センターである為に」の中で「地域の抱える介護ニーズを底辺で支える逆ピラミッド型の図式を常に頭に措いて仕事にあたっておりました。それでもなお、誰も知らない、表面化しないケースがある事を信じて、ニーズの発見に努めておりました。」と記述いたしました。
 福祉の現場は、ピラミッド型の結びつきから脱皮する必要があると考えます。

 「介護問題」を見逃さない為にも、在宅介護支援センターは、あらゆるネットワークの要の役割を果たす必要があると思います。
 そして、「要」の役割が、ソーシャルワーカーの仕事と考えています。

3 看護婦(又は介護福祉士)ケアマネジャーの仕事
 在宅介護支援センターは、業種の違う職員の組み合わせです。各々の専門的視点から、ケースを見た場合、「その様な見方もあるのか」と気付く事があります。業務の全てを、小さな連携で進めることが出来ます。

 又、地域では、介護(看護)に関して、お伝えして行かなければならない事が沢山あります。
 そして、専門分野での連携や、支援センター担当ケースの介護保険給付管理も加わります。
(仮説ここまで)

 以上、仮説に基づいてお話させて頂きました。 

ソーシャルワーカーとケアマネジャーの業務の違い

 ソーシャルワーカーは、「対象者を発見する目的で」地域ネットワークを作る役割を持っています。ケアマネジメント実施者です。
 ケアマネジャーは、「対象者を中心に」地域の社会資源をネットワーク化します。ケアマネジメント実施者です。

 この「 」内の違いが、ソーシャルワーカーとケアマネジャーの違いと考えます。

 両者の協力のもと、「介護問題」が発見出来る、地域の有機的な結び付きを作り上げてゆく事が望まれます。

在宅介護支援センターが経営できるのか?

 介護保険下の在宅介護支援センター委託費に大きな変化があったと聞いております。
 果たして、現状の委託費で、上記仮説が実行できるのかは解かりませんが、その機能を充分に発揮できるように、改正が求められます。
 NO1介護保険法スタート時点での間違いはその想いを、厚生労働省にぶつけたものです。
 「介護問題」を発見できる地域の体制作りは、誰かが取り組まなければならない問題です。そして、最適の機関が、在宅介護支援センターだと考えます。

まとめ
「待つ福祉から、発見できる福祉へ。」

 在宅介護支援センターは、地域の福祉ネットワークの要です。
 又、独立あるいはNPO法人・民間支援事業所所属ケアマネジャーの中には、優秀な方が数多くおいでます。地域における、相談出来る社会資源として、お互いの立場での連携が必要だと思います。
 尚、「中心となるサービス機関のケアマネジャーが担当する事が望ましい」というのは、日々のサービスの中で、利用者の状況の変化が察知しやすいことが一番大きい理由です。

 公正取引委員会の調査結果にもありました「囲い込み」の問題を解決するのは、ソーシャルワーカー・ケアマネジャーの業務に取り組む「公正・中立」の姿勢ではないでしょうか。
 実現しなかった実践ですが、法人内で「支援センターや在宅サービスを独立した機関として、定期的にサービス調整会議等を持つ」提案をしたことがあります。
 セクト主義ではなく、「在宅介護支援センターが法人から独立」することが実現できるなら、社会のご理解も頂けるのではないかと考えます。

 以上、私の考える「ケアマネジャーとソーシャルワーカー」の違いを、「研究会議NO1」で確認させて頂いた、「既存の組織の良いところを伸ばし、問題のある所は改めて行く」という姿勢に基づいてまとめさせて頂きました。

 「研究会議NO5」のたたき台として、ご批判等、いただく為にまとめました。

このページについて、ご意見、ご感想などEメールをいただければ幸いです。

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