難病ネットワークとやま 機関紙原稿 (研修会報告書)

厚生労働科学研究費補助金難知性疾患克服研究事業

平成17年度班研究会議 報告

平成18年1月6日〜7日開催された標記「研究会議」に参加して、「重症難病患者の地域医療体制の構築に関する研究」「特定疾患患者の自立支援体制に関する研究」の報告・合同講演を聴講いたしました。2会場に分かれての開催であるため、全報告件数61件・合同講演6件の約半分しか聞くことが出来ませんでしたが、その内容が豊富な事に驚くと共に、明らかに地域・県レベルでの格差が出ている現状を再認識しました。
ネットワーク作りということでは介護保険の現状にも通じるところがありますので、その角度から報告をさせていただきたいと思います。

昨年富山県にも待望の「難病相談・支援センター」が設置されましたが、このセンターでは情報の提供や難病医療拠点病院や協力病院との連携をはじめ、難病医療に携わる職員への研修・教育も担当することとされています。
この他にも難病相談窓口として健康福祉センター(保健所)や県担当課に「難病相談支援ネットワーク事業」が機能するように難病医療専門員・難病相談支援員も配属されることとされています。
相談窓口は多いほうが良いのですが、制度が非常に複雑で制度ごとに相談窓口を設けているなど判りにくい制度になっています。先ず各事業間のネットワーク作りが急務なのではないかと感じました。
その判りにくい制度の、非常に判りやすい現状が重症難病患者に対する入院施設確保事業における拠点病院・基幹協力病院・一般協力病院の整備状況ではないかと思います。
難病相談・支援センターが整備されていない県もありますが、センターが整備されながら、拠点病院からなる医療連携が執れていない県も何県か目に付きました。
富山県では制度としては動いているのかもしれませんが、この医療連携という点では、全国的に見ても非常に遅れていると言わざるを得ない状況です。
全国的に拠点病院の指定を受けている病院のほとんどが大学病院であり、大学病院を核とした地域医療の体制作りが進んでいる中、体制作りが進まない一つの要因として医療学閥の問題があるのではないかと推測いたします。
富山県においてもその流れは感じていますが、その障害を取り払って、行政・医療・患者団体などが一体となっての体制作りを是非進めていただきたいと思います。

ネットワークは人と人との結びつきです。その有効な連携が今後出来上がっていく姿を描きながら、国立病院機構相模原病院での金沢区を対象にした小規模ネットワークの取り組み「在宅療養患者の療養環境はケアマネジャーや訪問保健師の資質に依存する傾向があり、療養環境の向上には病院と保健所、各訪看ステーション、在宅介護支援センターとが連絡を緊密に取り合えるような連絡会が必要である」という報告から、保健・医療・福祉の現場そして行政の双方向から医療連携の深まりを追い求めていく必要性を感じました。

(参考資料抜粋)

平成17年11月30日現在のアンケート調査結果(都道府県)
1)拠点病院、一般協力病院などを既に設置し、実施している    37(79%)
                             現在構築中である  4(9%)
                             まだ実施していない 6(13%)

難病相談・支援センターは既に開設し、運営されている      33(72%)
                現在開設に向けて準備中である    11(24%)、

※富山県では難病相談・支援センターは開設されていますが、拠点病院・協力病院が設置されていません。


もう1点目を引く研究がありました。それは人工呼吸器と併用して使用できる「自動吸痰装置」の開発です。現在治験段階だということですが、1日も早くこの装置が一般化されれば良いと思いました。
「人工呼吸器をつければ、24時間体制の吸痰が必要になり、介護で家族が共倒れしてしまう。それを支えるホームヘルパーや訪問看護師の体制が不十分。今の介護保険や障害者福祉の制度では対応できない」という理由で人工呼吸器をつけることを断念される方も多いと聞いております。
ホームヘルパーの吸痰の問題は一応解決を見ていますが、未だにその実行が進んでいないのが現状です。身近にも遷延性意識障害で人工呼吸器の必要はありませんが、吸痰が介護者にとってかなりの負担になっている方のケースを目にしています。「自動吸痰装置」を使用することが出来れば、よりキメの細かな介護に目を向けることが出来るのではないかと思います。
厚生労働省には1日も早くこの装置を認可していただきたいものだと思います。



「災害救援ボランテイアコーディネーター実地訓練」に参加して

2月28日npo法人富山県民ボランテイア総合支援センター主催の標記講習・実地訓練に広瀬さんと一緒に参加しました。
参加者56名の内、行政・社会福祉協議会関係者が約70パーセントという内容の研修会でしたが、皆様非常にまじめに取り組んでおられたのが印象的でした。

午前中は『災害ボランテイアセンターとは?』ということで講義をいただきました。講師に立たれたnpo法人レスキューストックヤードの栗田さんは、阪神大震災時大学生を千数百人組織して現地に乗り込まれた実践経験者であり、阪神をボランテイア元年と位置付けてnpo法人を立ち上げられ、それ以降各地の災害現場でボランテイアセンターの立ち上げなど、取り組みを続けておられます。

講義の中で特に興味を引いた内容は、宮城県沖地震においてボランテイアと一緒に現地へ駆けつけられ時の実例でした。南郷町災害ボランティアセンターでは素晴らしい取り組みがなされましたが、近隣の町ではボランテイアが入り込むことも出来なかったという二つの実例の中に、災害ボランテイアセンター設置時の行政・社会福祉協議会等の災害に対する認識によって、大きくその結果は分かれるということです。
成功例としての南郷町では元銀行マンの社会福祉協議会長が先頭になってボランテイアセンター設置の陣頭指揮を執られました。一方某町の天下り事務局長は、今更何をしようというのか・・・という認識だったそうです。(天下りを例に出したことに対して後程謝罪されていました)

午後は2班に分かれて、ボランテイアとボランテイアセンター側に別れ、双方の立場を実習しました。ボランテイアセンターの流れは、受付→送り出し・活動説明→用具・物資の受け渡し→オリエンテーション→活動→活動報告となりますが、中には意地悪なボランテイア役も作ったりして、楽しい実地訓練風景でした。
このあとグループ討議→まとめの発表となりましたが、まとめは県へ提出していただけるということで、災害弱者の立場から1項目設けていただくことが出来ました。

災害ボランテイアセンターには「災害弱者支援班」を保健・医療・福祉等関係者等で作るという課題がありますが、宮城県が話題になっていたこともあり、重度難病患者に療養手帳が発行されていることなどをお伝えしました。この手帳を持っていれば、どこの病院に救急搬送されたとしても同じ医療処置を受けることが出来るということです。また、呼吸器や吸痰の問題もありますので電源の確保なども重要なことだと思います。
社会福祉協議会の若い職員の皆様に対して、災害時のボランテイアセンター設置も重要なことですが、日々の活動の中でコミュニティー作りに取り組んでいただくことや、障害者・難病患者などの災害時における安否確認や薬・電力の確保などに関して、消防署や電力会社・病院などとの連携も視野に入れながら対策を講じておいていただくようにお願いしてきました。
講師にはこのあたりを充分に理解していただけたようでしたので、県への報告書には重度者への対応の提言も書き加えていただけるのではないかと期待できる研修会でした。
そして、患者団体として「災害弱者支援班」への参加も重要なことではないかと思います。

最後に唯一つ残念なことがありました。県下で一箇所参加していない市町村がありましたが、それが高岡市であったことに対して非常に残念な想いをしています。

NPO法人 難病ネットワークとやま

『高岡発・介護問題研究会議』

研究会議