冒険記
目の前に現われた巨体、グランドドラゴン。
大陸の中でも5本の指に入るぐらいの凶暴なモンスターと噂にある。名うての熟練剣士でも苦戦を強いられ、一人では倒すのが不可能だというらしい。
ジタンは見上げるほどの高さもある竜の目をみた。
好戦的な光が宿る燃えるような瞳。まるでどんな動きもひとつ残らず見逃さないような鋭敏さ。息をつくことすらためらわれるような心の底からの圧迫感。
ジタンは慎重に目線をずらし始めた。まず、目についた口元。長く鋭い牙が噛みつかんばかりにこちらを向いている。そして、その牙の間から何度かのぞく赤い舌。それは、舌なめずりをするようにジタンたちをみつめていた。ご馳走でも見るかのように。
次に目に付いたのはごつごつとした分厚い皮膚。乾きひび割れした緑色のウロコで全身が覆われている。鋭利な剣でも、そのウロコを突き破るのは無理なように思える。
このまま待っていても殺されるだけだ。