菅 原 道 真   稚児天神像

                              
                                       米 原 雲 海 桜材 一木造り   「 筆 取り外し可」


              

           本作の最大の見所は,日本の伝統的な木彫技法を用いつつも,

            ブロンズによる西欧近代彫塑と同一の制作方向,すなわち人体把握における美術解剖学的な

            正確さと内的充実感溢れる 三次元量感表現の二点を実践しようと試みているところにある。



             背面から鑑賞すれば 水平に鑿の痕が衣に刻まれていることが確認できる

             このような作柄の作品が今日までに存在したであろうか 部分ならまだしも 衣の全体を包む総体を刻むとは

            木彫家に尋ねるに 木目に逆らって彫るには 3倍の労力と最高の木材、技術がいるとのこと、だから出来ないと。

             米原雲海の判明している作品中にても この出世作 【 清宵 稚児天神像 】を措いては類例を視ない

              38歳 青年期最後の挑戦であった。この作品は各面から観るにつけても弱点が無い、不思議な作である

               これらの事柄がこの作品の最も重要な要素であり 偉大なる作品の所以である

                              固い木材の
木目にあえて逆らう

            かたちで着衣部のみならず顔面や両手の体表部にいたるまで作品全面に細かな刀痕が残されている点であり


            その結果,本作は距離を置いて鑑賞した場合,あたかもロダンのブロンズ彫塑の表面にも似た視覚的触覚性の

            効果を生みだすこととなっているのである。このことが,作者にとって果たしてどれほど造型上の自覚的行為

            であったのかは即断し難いのだが,いずれにしても 木彫分野では特異かつ稀な事例といえる






                               

                              

                              島根県立美術館 常設コレクション展  パンフレット

                                      

                                           

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